増補・話芸きまり文句辞典

落語・講談によく出ることば(改装中)

【お医者さまでも草津の湯でも】おいしゃさまでもくさつのゆでも)「御医者サンデモ有馬ノ湯デモ惚レタ病ハナオリャセヌ」俗謡なり。──【諺語大辞典】(落語・薬違い「兄哥何をかくそう俺の病気は、お医者様でも草津の湯でもというんだ」)落語:阪東お彦=派手彦、肝潰し 講談:小野寺十内

【老ては幼きに帰る】おいてはおさなきにかえる)「七十ノ三ツ子」老イテ再ビ兒ニナルともいう。──【諺語大辞典】「老いて再び児(ちご)になる」人が老いるとまたこどものようになる。老いては愚にかえる。──【広辞苑四版】(講談・越後伝吉「声を揚げてワーツと泣出した。老ては幼きに帰ると云つて、早く云へば耄碌をしたので」)

【老いては子に従え】おいてはこにしたがえ)年老いては何事も子にまかせてこれに従えとの意。──【広辞苑四版】(講談・鼠小僧次郎吉「はあお暇いたしましょう、老いては子に従えだ、もうろくしちゃあとても若い者には敵わねえ」)《い》落語:桃太郎 講談:勤王芸者、赤穂義士本伝

【老いの繰り言】おいのくりごと)老人のくりかえしくりかえし往事を追懐して、くどく話説するをいう。──【諺語大辞典】(講談・倉橋伝助「イヤ御身に対して老いのくりごと」)

【花魁は足袋屋にばかり借りはなし】おいらんはたびやにばかりかりはなし)(落語・高尾「又川柳に、花魁は足袋屋にばかり借りはなし、などといふ悪口がございますが、昔の花魁は何様な寒中でも足袋といふものを穿きません」)

【桜花咲き誇りたるを見ては春を知り、妻恋う鹿の鳴く音を聞いて秋を知り、春風秋雨夢の間に巡りて早○年】おうかさきほこりたるをみてははるをしり、つまこうしかのなくねをきいてあきをしり、しゅんぷうしゅううゆめのまにめぐりてはや  ねん) (講談・柳生二蓋笠「『山の繁れるを見ては春を知り、妻恋う鹿の鳴く音を聞いて秋を知る。春風秋雨光陰は矢の如くに流れまして夢の間に早七年。よく教えたがよく覚えてくれた。もはや其の方に教える技を持たぬ』」)講談:徂徠豆腐

【黄金多からざれば交わり薄し】おうごんおおからざればまじわりうすし)(講談・由井正雪「何事にしても金が無ければ出來ない。黄金多からざれば交わり薄し、現代でも其通りでありますが」)

【負うた子に教わって浅瀬を渡る】おうたこにおそわってあさせをわたる)智者も時によりては愚者の言によりて発明する所あるをいう。──【諺語大辞典】 「毛吹草」にもある。(講談・野狐三次「うん、そうだったけな、おつね、負うた子に浅瀬を教わるてえ譬があるが、年歯もいかねえ小倅に、一朱が米の代で一朱が阿母の薬の代だと、二ツに分けて話されて、何で俺がこの金を持って行かれるもんか」)落語:池田の牛ほめ 講談:梁川庄八、肉付の面、寺坂吉右衛門、野狐三次

【負うた子よりは抱いた子】おうたこよりはだいたこ)遠きを後にして近きを先にするをいう。──【諺語大辞典】 「毛吹草」にもある。(講談・本所五人男「イエ決して成りません人を思ふは身を思ふ負つた子よりハ抱た子、背に腹は換えられんといふ諺ざもあるに依つてお氣の毒ながらにお斷はり申す」)

【合うたり叶うたり】おうたりかのうたり)望む所に適合すること。願ウタリ叶ウタリともいう。──諺語大辞典(落語・立切れ「よろしゅうござります。合うたり、叶うたり……乞食にして進ぜましょう」)講談:藪原検校

【逢魔が時】おうまがとき)「大禍時」で、禍事の起こる時の意。夕方の薄暗いとき。俗には暮六つをいう。──【江戸語の辞典】「オマンガ時」黄昏をいう。──【諺語大辞典】(講談・梁川庄八「其時はもう逢魔ケ時、彼の若者は大地に兩手を突きまして」)講談:梁川庄八、妲己のお百、天保六花撰

【近江殿御に伊勢子正直】おうみとのごにいせこしょうじき)次項の逆解釈。男は近江、伊勢者は正直、ということ。(講談・笹野名槍伝「『何だか知らねえが、近江殿御に伊勢子正直といひますね』『貴下、何も能う知つてやはりまんな、其通りだす』」)

【近江泥棒伊勢乞食】おうみどろぼういせこじき)近江には盗人多く、伊勢には乞食多し。──【諺語大辞典】(実録・大岡政談後藤半四郎「近江泥坊伊勢乞食といふ事あれば江州の者に油斷はならず連は嫌ひなりと申せしかど」)

【お浦山吹】(おうらやまぶき)「おうらやましい」。「オウラ山吹日蔭の紅葉」羨シイという秀句。人の身の上を羨みて、我は日蔭の紅葉の如しというなり。──【諺語大辞典】 「~お庭の桜」(見るばかり、及ばない=手に取れないの洒落)とも。(講談・鼠小僧次郎吉「お浦山吹お庭の桜、ああ結構なことでございますねえ」)

【大雨にたらい家中這いまわり】おおあめにたらいいえじゅうはいまわり)川柳。(落語・野ざらし「ほほぅ、『大雨に、たらい家中這い廻り』なんてんで?」)

【大あり名古屋は金の鯱】おおありなごやはきんのしゃち)「大あり」を「尾張名古屋」にかけた洒落。(落語・居残り佐平次おほあり名古屋は金の鯱だね。此所に居る四人とも皆んな出掛けるよ」)落語:たらちね、御慶、不動坊

【大男総身に知恵が廻り兼ね】おおおとこそうみにちえがまわりかね)川柳。A tall man is a fool.──【諺語大辞典】(講談・岩見重太郎「イヤあれは生れつきだよ。大男総身に智恵がまわりかねっていうじゃあねえか」)落語:素人相撲、野崎詣り 講談:吉田忠左衛門宮本武蔵、天保六花撰、寛永御前試合、慶安太平記西郷南洲

【大釜の湯気で育つ】(おおがまのゆげでそだつ)富裕な家に生まれ育ったため、のんびりおっとりとした性質であること。(落語・唐茄子屋政談「大釜の湯気で育った若旦那」)

【大きな時計に小さい時計、どっちも時間が同じだ】おおきなとけいにちいさいとけい、どっちもじかんがおんなじだ)(落語・湯屋番「『唄った文句がよかったね。“大きな時計に小さい時計、どっちも時間が同じだ”』『つまらねえ都々逸ですね』」)

【大食大酒は芸の中】おおぐいおおざけ:たいしょくたいしゅ:はげいのうち)「早飯も芸の内」他にとりえのない者には、飯を早く食うことも芸の一つに数えてやってよい。──【故事俗信ことわざ大辞典】大飯喰らい、大酒飲みも並はずれれば一種の芸である、ということ。(落語・備前徳利「併し大食大酒は芸の中とか申しまして、大酒家と云うものも却々大きいものでございます」)

【大阪さかいに京どすえ、兵庫神戸のなんぞやぞい、長崎ばってん、江戸べらぼう】(おおさかさかいにきょうどすえ、ひょうごこうべのなんぞやぞい、ながさきばってん、えどべらぼう)(落語・テレスコ「大阪さかいに京どすえ、兵庫神戸のなんぞやぞい、長崎ばってん、江戸べらぼう……てなことを昔、いいました」)

大寒小寒、山から小僧が泣いてくる】おおさむこさむ、やまからこぞうがないてくる)「大寒小寒」(「おゝさむ」を「大寒」の意に転じ、これに「小寒」を対比させた語)寒風の日に児童のうたう唄。──【江戸語の辞典】(落語・胴取り「大寒小寒、山から小僧が泣いてくる “大寒小寒”ときやったァ、こン畜生め……“山から小僧が泣いてくる”ッてやがる……ふふン」)落語:夢金

【大承知の入道前の関白太政大臣おおしょうちのにゅうどうさきのかんぱくだじょうだいじん) 「法正寺入道」百人一首に「法性寺入道前関白太政大臣」とある藤原忠通。長い名前の代表例とされる。──【江戸語の事典】「どうしょう寺の入道~」という洒落もある(落語・清正公酒屋)。(講談・寺坂吉右衛門「承知しました、大承知の入道、さきの関白太政大臣、心得ました」)

【おおたばな】おおたばな)「大束ニ出ル」大づかみにて細部にかかわらぬこと。寛闊大量に見せかくるを、大束ヲ極メコムなどという。大まかな、大げさな。──【諺語大辞典】(落語・あくび指南「なにをゥこの野郎、おおたばなことォ言やァがったな」)落語:あくび指南、夢金、ふだんの袴、梅若礼三郎、胴取り、錦の袈裟 講談:寛永三馬術赤穂四十七士伝、明智三羽烏

【大鳥より小鳥】おおとりよりことり)「大取リショウヨリ小取リセヨ」一時に巨利を博せんとせず、小利を積むべし。──【諺語大辞典】(落語・お直し「大鳥より小鳥だ。お前の腕前で稼いで呉れりやア却々小さくねえんだよ」)

【大根を洗う】おおねをあらう)「大根」根本。根源。元来。本来。──【江戸語の辞典】(落語・子別れ「大根を洗やア嬶の扱えが悪いからだい」)

【大船に乗った気で】おおぶねにのったきで)「大船ニ乗ッタヨウ」心丈夫に思う喩。──【諺語大辞典】(落語・氏子中「どうかお願い申しますったら心配(しんぺえ)するには及ばねえ、大船にのった気いろってェから」)

【大(間)違いの鬼子母神おお(ま)ちがいのきしもじん)(講談・旗本五人男)

【大晦日の晩に寝るやつは馬鹿】おおみそかのばんにねるやつはばか)(落語・御慶「そうはいかねえや、大晦日に寝るなア莫迦だい」)

【大晦日箱提灯は怖くなし】おおみそかはこぢょうちんはこわくなし)(落語・言訳座頭「“大晦日箱提灯は怖くなし”てェのがございまして……」)落語:睨み返し

【大家と言えば親も同然、店子と言えば子も同然】おおやといえばいやもどうぜん、たなこといえばこもどうぜん)関係の親密なるをいう。──【諺語大辞典】(落語・小言幸兵衛「ナニ冗談をいいませんよ。大家といえば親も同然、店子といえば子も同様だから聞くんだ」)落語:寝床、団子兵衛、らくだ、二十四孝、ふだんの袴、天狗裁き、小間物屋政談、一文惜しみほか多数 講談:鰯屋騒動、藪原検校

【おかざりの数をくぐる】おかざりのかずをくぐる)「御飾ノ下ヲヨケイクグッテ居ル」御飾は正月飾をさす。年を多くとりて、経験に富むをいう。──【諺語大辞典】編者注:「橙の下をくぐる」、「門松の数をくぐる」(講談・寛永三馬術)ともいう。(講談・清水次郎長「文蔵はくだらねえ老父(おやじ)だが、おかざりの数をくぐっているお蔭にゃァ、落ちつく先は知れていらァ、思い当ることもあるだろう」)講談:赤穂四十七士伝、寺井玄渓、汐留の蜆売り

【おかちめんこ】おかちめんこ)目鼻立ちの整わない顔。女をののしっていう語。──【広辞苑四版】(落語・なめる「どうせおたふくなんだろう……ええ、おかちめんこだろうな」)

【岡惚れも三年すれば色のうち】おかぼれもさんねんすればいろのうち)「岡惚レモ三年スレバ情人ノウチ」──【諺語大辞典】。「岡惚れ」 傍から惚れる意。一説、本惚れに対する仮惚れの意。ちょっと接しただけで惚れること。深く接して人物を知った上でもないのに惚れること。──【江戸語の辞 典】たとえ岡惚れでも、三年もの長い間、誠を尽くして恋する者には、立派に恋人の資格を認めてやっていいではないかということ。──【故事俗信ことわざ大 辞典】(落語・つるつる「俺ァ四年半、岡惚れしてんだなァ。『岡惚れも三年すれば情夫のうち』ってことが……一年半超過してるン」)落語:心眼 講談:鼠小僧次郎吉

【岡目八目】おかめはちもく)「岡目八目囲碁より出たる諺、傍観する時は局に当りたる時より八目強しとの義。──【諺語大辞典】 だが、指図するようなことは無用である、ということ。(落語・碁どろ「見て居るのはいいがね、助言はいけませんよッ。岡目八助言は無用ッと、いきますかな」)講談:明智三羽烏

【起きて半畳、寝て一畳】おきてはんじょう、ねていちじょう)知足安分の譬。俗謡。「~天下取っても二合半」 。──【諺語大辞典】 「織田信長の言」と噂される。富貴を望んでもつまらない、ということ。(落語・江島屋騒動「『起きて半畳、寝て一畳、天下取っても二合半』と言ったってますからな。だから人間というものは、出来ることしか出来ない。」)講談:水戸黄門、柳生三代

【起きて見つ寝て見つ蚊帳の広さかな】おきてみつねてみつかやのひろさかな)(落語・雪てん)

【沖の暗いのに白帆が見える】おきのくらいのにしらほがみえる)(落語・短命「口ン中でなにか、『暗いのに沖の白帆が見える』でもなんでもいいんだよ。そんなことを口ン中で言ってりゃァ、そいでお悔みらしくなるから」)落語:短命、芝浜、播州巡り 講談:浅妻船 

【お侠】おきゃん)若い女の行動や態度が活発で軽はずみなところがあること。また、そのような女。おてんば。(講談・鈴木重八「男嫌いと噂を取ったお侠娘のお花も」)

【奥歯に物のはさまったような】おくばにもののはさまったような)心中に芥帯する所ありて、十分打ち解けざる意。──【諺語大辞典】(落語・算段の平兵衛「どうもこいつ、奥歯に物のはさまったような言い方をする」)

【奥山にもみじ踏み分け鳴く蛍しかとは見えぬ杣のともし火】おくやまにもみじふみわけなくほたるしかとはみえぬそまのともしび) (講談・曾呂利新左衛門「公の書かれたる『奥山にもみじ踏み分け鳴く螢』の脇へ筆の跡さえ美しく、『しかとは見えぬ杣のともし火』の一句」)

【怠らず行かば千里の果ても見ん牛の歩みのよし遅くとも】おこたらずゆかばせんりのはてもみんうしのあゆみのよしおそくとも)「~千里の末も見ん」とも。(講談・田宮坊太郎「品川を後になし『怠らず行かば千里の果も見ん牛の歩みのよし遅くとも東海道五十三次お話もなく大阪へ着いたし、川口より金毘羅船に乗り込んだ」)落語・講談:浜野矩随

【奢る平家久しからず】おごるへいけひさしからず)「驕ル平家ニ二代ナシ」ともいう。驕奢の早く滅亡を招くべきをいう。──【諺語大辞典】(講談・水戸西山公「物ごと總躰、奢れば極めのないもの、奢る平家久しからず、一國の身代でも、町人の身代でも同じこと」)

【おこわに掛ける】おこわにかける)「お恐」「おお恐」の略。美人局の異称、転じて、詐欺。──【江戸語の辞典】(講談・新吉原百人斬り「今日で丁度十日跡だ佐野の大盡をおこわに掛て榮之丞の手を切たと三百兩といふ大金取ときやアがつて」)落語:居残り佐平次

【お先煙草】おさきたばこ)主人側から先方に客の接待に出す煙草。──【江戸語の辞典】(落語・湯屋番「オイオイ行くんなら莨の箱を持って行きねえ、お先莨をしなさんな。余り又ペラペラ饒舌んなさんなよ」)

【お酒飲むのも芸のうち】おさけのむのもげいのうち)(落語・高田の馬場「もうじき体を一回りしますな徳利が、見事なもんですな。『お酒飲むのも芸のうち』という言葉がございますが、よほど召し上りますな」)

【お酒飲む人花なら蕾、今日もさけさけ、明日もさけ】おさけのむひとはなならつぼみ、きょうもさけさけ、あすもさけ)(落語・試し酒「ふるい歌にはええ文句があるネ。お酒のむ人花ならつぼみ、きょうもさけさけ、エヘッ、あすもさけ、なんて、うめえことをいうたネ」)落語:棒鱈

【惜しい花ほど散りたがる】おしいはなほどちりたがる)(講談・清水次郎長「選りに選って仁吉がたおれるとは……惜しい花ほど散りたがるな」)

【教えざるは親の罪、覚えざるは子の罪】おしえざるはおやのつみ、おぼえざるはこのつみ)編者注:実録「天明水滸伝」には、「子を養うて教えざるは父の誤りなり、教導の厳ならざるは師の怠りなり」とある。(講談・梁川庄八「全體貴様達が心得違ひだぞ。教えざるは親の罪、覺えざるは子の罪だ。幾ら可愛いからと云うて、貴様達のは犬可愛がりだ」)

【教育なき者は禽獣に近し】おしえなきものはきんじゅうにちかし)(講談・誰が袖音吉「汝にはまだ少しの教育もないが、教育なき者は禽獣に近しだ、これから毎日私の宅へ來い」)

【教えぬことはかえって覚えやすし】おしえぬことはかえっておぼえやすし)(実録・大岡政談安間小金次「然るに女の譬の如く教へぬ事は却つて覺え易しと此度彼の惡僧が火炮りの刑ありしより近邊の子供等自然と之を見覺え」)

【押借強談強奪、夜盗かっさき家尻切り】おしがりゆすりぶったくり、やとうかっさきやじりきり)悪事一通り。「掻っさき」人目を盗み、急に奪い去ること。かっぱらい。「家尻切り」家・蔵の背後の壁を切り破って侵入し、盗みを働くこと。──【江戸語の辞典】(落語・猫と鼠「勘当されゝば乃公は一本立ちぢや。押借強談強奪、夜盗かつさき家尻切り、遣らないのは損だ」)

【鴛鴦の番いの楽しみ】おし(どり)のつがいのたのしみ)(講談・清水次郎長「すいた同志で夫婦になり、鴛鴦の番いのたのしみもまだ夢の間のただ三月、あきも飽かれもせぬ仲が、おれのために別れるというのを、知らん顔で見ていられるものじゃァない」)

【惜しまれる人は早く死ぬ】おしまれるひとははやくしぬ惜しい花ほど散りたがるの項参照のこと。(落語・真景累ヶ淵「善い人で、惜まれる人は早く死ぬと云ふが」)

【おじゃれ】おじゃれ)門口に立ち旅人を見ては「おぢやれ」と招いたのでいう、と。街道にあった宿屋の下女。旅人に淫をもひさいだ。──【江戸語の辞典】(講談・重の井子別れ「店先に立つて客を呼ぶ三人のおじやれ、小萬、小よし、小女郎は、もう聲も嗄れ、身も疲れて」)

【おじゃんになる】おじゃんになる)(火事の鎮火の時に打つ半鐘の音から)事が不成功に終わること。だめになること。失敗。──【広辞苑四版】(落語・火焔太鼓「折角の儲けがおじやんになる」)講談:伊賀の水月

【教ゆる者は針の如く、教わる者は糸の如し】おしゆるものははりのごとく、おそわるものはいとのごとし)「師匠ハ針ノ如シ」師の弟子におけるは、針の絲をつれはこぶが如し。「師ハ針ノ如ク弟子ハ糸ノ如シ」師の導くまゝに弟子の従いゆくをいう。──【諺語大辞典】(講談・伊賀の水月教ゆる者は針の如く教わる者は糸の如しとか、又十郎足かけ七ヵ年のうちに、真影流合気の術までに至りました」)

【お女郎買いの糠味噌汁】おじょうろかいのぬかみそしる)「女郎買ノ糠味噌汁」外に奢りて内に吝なるをいう。──【諺語大辞典】(落語・おせつ徳三郎〜上「『このうち三銭ばかりまかりませんか』とお女郎買いの糠味噌汁で、みなさまふさいでしまいますが」)講談:小金井小次郎

【遅いようで早いのは流言】おそいようではやいのはりゅうげん)(講談・荒木又右衛門「殊に遅いやうで早いのは流言、彼方此方へ行つて噂をして歩く」)

【遅かりし由良之助】おそかりしゆらのすけ)時機に後れし場合にいう常言。「仮名手本忠臣蔵」の文句に基く。──【諺語大辞典】(講談・寛永御前試合「もうすでに遅かりし由良之助で」)

【おそまきの唐辛子、すまないの次郎丹治直実】おそまきとうがらし、すまないのじろうたんじなおざね)「おそまきの唐辛子」は「花は咲いても実は持てぬ」という「おそまき」の洒落。「すまないの次郎」は「熊谷の次郎(直実)」の洒落。(落語・雪の瀬川「それに気がついたというのはもう少々、おそまき唐辛子。お前にはすまないの次郎、丹次直実」=夢の瀬川)

【畏れ入谷の鬼子母神おそれいりやのきしもじん)「恐れ入る」という秀句(=地口・気の利いたしゃれのこと)。──【諺語大辞典】(落語・ぢぐち「最早分りました。『畏れ入谷の鬼子母神』」=地口合せ)

【恐れ入り山形に二ツ星】おそれいりやまがたにふたつぼし)「入山に星印」「入山形二つ星」の略。「入山形吉原細見の記号。最高を入山形二つ星とし、最低を山形一つとする。──【江戸語の辞典】(講談・大岡政談お花友次郎「十両金子を出すくれえなら、吉原で入山形に二つ星の良い花魁が抱いて寝られるといふことだ」)(落語・山崎屋「古い洒落に、恐れ入り山形に二ツ星などといふのがございますが」)講談:寺坂吉右衛門

【怖ろしき鬼の姿を尋ぬれば邪慳な人の胸に住むなり】おそろしきおにのすがたをたずぬればじゃけんなひとのむねにすむなり)(落語・木火土金水「鬼といふものは、世の中にあるとはいふものゝ、実際あるわけのものではない。怖ろしき鬼の姿を尋ぬれば邪慳な人の胸に住むなり」)

【織田がこね羽柴がつきし天下餅座りしままに食うは家康】おだがこねはしばがつきしてんかもちすわりしままにくうはいえやす)(講談・村越茂助誉れの使者「歌の方にもありますね、織田がこね羽柴がつきし天下餅座りしままに食うは家康。しかし家康の方にだって天下を取るためにはそれ相応のえらい苦心苦労があったわけでございます」)講談:木村長門守の堪忍袋

【煽動(おだて)ともっこには乗りたくない】おだてともっこにはのりたくない)「煽動ト畚ニハ乗リタクナイ」「乗リ易イ」ともいう。──【諺語大辞典】 かつて 「もっこ」に死刑囚を乗せて刑場に運搬したことから、決しておだてに乗せられて行動してはならないという戒めをいう諺。また、「おだて」とは長持のような 運搬道具で、「おだて」にしても「もっこ」にしても、乗せられたらまず助からない罪人であるので、こういうという説もある──【「圓生古典落語」の「汲みたて」解説文より】。(講談・笹野名槍伝「煽動と畚にや乗りたくないなどといふのは、さういふ所から出た文句で、成程此の畚には乗りたくないかも知れませぬ」)

【おたまりこぼしがあるものか】おたまりこぼしがあるものか)たまらぬ(堪えられぬ)事なりとの意。──【諺語大辞典】(落語・庖丁「冗談いっちゃいけないよ。そんな事をされておたまりこぼしがあるかい」)落語:胴取り、万金丹 講談:安中草三郎、藪原検校

【おためごかしの言い手はあれど、まこと実意の人はない】おためごかしのいいてはあれど、まことじついのひとはない)「オ為ゴカシ」他の利を謀るに托して、実は自家の利を営むをいう。コカスは倒すの意。──【諺語大辞典】(講談・清水次郎長お爲めごかしの言ひ手はあれど、誠實意の人は少ない、口に旨え事を言やァがつても、金と名が附きやア傍を向いてしまふ世の中に」)落語:湯屋番 講談:朝顔日記〜熊沢蕃山の諫言、

【小田原評議箱根相談】おだわらひょうぎはこねそうだん)「小田原評定」(天正十八年豊臣秀吉小田原征伐の時、北 条方で和議の評定がなかなか定まらなかった事による)相談が長びいて、ついに決定せぬたとえ。いつまでたっても埒の明かぬ相談のたとえ。──【江戸語の辞典】(講談・本所五人男「五人七人相會して種々なる論を立てると雖も世に云ふ小田原評議箱根相談で更らに纏らず」)講談:天保六花撰

【落付く先は九州相良】おちつくさきはきゅうしゅうさがら) 浄瑠璃「伊賀越道中双六・沼津」にある有名な文句。(落語・居残り佐平次「さうとも、落着く先は九州相良だ、何をして行つたつて同じ事つたからなア」)

【落ちぶ(零落)れて袖に涙のかかる時人の心の奥ぞ知らるる】おちぶれてそでになみだのかかるときひとのこころのおくぞしらるる)作者不詳の教訓和歌。(講談・正直車夫「落ちぶれて、落ちぶれて、袖に涙のかかる時、人の心の奥ぞ知らるる。もと巡査をつとめた稲垣が『正吉君、有難う』」)落語:鼠穴 講談:清水次郎長、勤王芸者、越後伝吉、大高源五、本所五人男、天野屋利兵衛、写真のお若

【おっこち】おっこち)「おっこちる」(語源未詳)惚れる。参る。「おっこち」惚れること。参ること。また情人。愛人。男女いずれにもいう。──【江戸語の辞典】 江戸から明治にかけて流行った表現。(落語・樟脳玉「『金ちゃんどちらへ』『浅草へ』『オッコチだねェ』」)落語:佃祭

【押取刀】おっとりがたな)急な場合に、腰にさす間もなく、急いで刀を手に取ること。大急ぎで駆けつけるさまにいう。──【広辞苑四版】(講談・祐天吉松「と、いつてる處へ三人の侍押取刀でバラバラとそれへ飛び出して來て」)講談:小金井小次郎、天保六花撰

【おつもり】おつもり)「御積」。「つもり」の丁寧語。その盃きりで終わりにすること。──【江戸語の辞典】(落語・一人酒盛「あァ、飲んじゃったのか、なんだィ、それじゃァおつもりだろうこの酒ァ」)落語:佃祭

【男が喧嘩をするなら、仲直りをするような喧嘩を決してするな】おとこがけんかをするなら、なかなおりをするようなけんかをけっしてするな)(講談・国定忠治「國定忠次は日頃子分に云つて聞かせて『男が喧嘩をする位いなら、仲直りをする様な喧嘩は決してするな、遣るからには當の相手を殺してしまへ』」)

【男が好うて金持で夫で女が惚れるなら仙台高尾を切りはせぬ】おとこがようてかねもちでそれでおんながほれるならせんだいたかおをきりはせぬ)(講談・玉菊燈籠「男が好うて金持で夫で女が惚れるなら仙臺高尾を切りはせぬといふ歌にもあります通り夜毎に替る枕の數浮川竹の勤めの身」)

【男心と秋の空】おとこごころとあきのそら)「男ノ心ト秋ノ空ハ夜ノ間ニ七度カワル」とも。変り易きをいう。──【諺語大辞典】 「毛吹草」に「おとこのこころと川のせは一やにかはる」とある。(落語・バスガール「男心と秋の空、かわりやすいとききました、いいわけすればするほどに、あやしく思うわたくしを、ふびんとお察しねがいまァす」)落語:紺屋高尾、お見立て、牡丹燈籠、道灌 講談:大岡政談お花友次郎、西郷南洲

【男づく女づくの間柄】おとこづくおんなづくのあいだがら)(講談・小金井小次郎「男づく女づくの間柄ぢやア扨汚なびれたことは云ひもされねえ、殘念だなア」)

【男というものは三言しゃべれば氏素性が現れる】おとこというものはみことしゃべればうじすじょうがあらわれる)(落語・米揚げ笊「男というものはそうベラベラしゃべるものやない。三言しゃべれば氏素性が現われる」)

男と名のついたものは、猫も膝に乗せない】(おとことなのついたものは、ねこでもひざにのせない)(講談・安政三組盃「男と名のついたものは、猫もひざに乗せないという、あれがソモソモ嘘なんでげす」)落語:野ざらし

【男に寝顔を見せたる女は去る】おとこにねがおをみせたるおんなはさる)(講談・伊賀の水月「アアー寝相の悪さ……聖人の言葉にも男に寝顔見せたる女は去るとあるが」)落語:熊の皮 講談:柳生二蓋笠

【男の子は男につくのが習い】おとこのこはおとこにつくのがならい)「男ノ子ハ男親ニツク」夫婦離別の時に、子あれば、その男児は父の方に引取らるゝをいう。──【諺語大辞典】(落語・子別れ「サア暇を下さい、男の子は男に附くというけれども然んな人の手に掛けるなァ厭だから、子供だけは私が貰います」)落語:真景累ヶ淵 講談:幡随院長兵衛、菅谷半之丞、天野屋利兵衛、安政三組盃、二度目の清書

【男は敷居をまたげば七人の敵がある】おとこはしきいをまたげばしちにんのてきがある)世路人情の険悪にして、男子の奮闘すべき敵多きをいう。──【諺語大辞典】(落語・転宅「それでなくともね、男というものは“敷居をまたぎゃ七人の敵がある”譬があるじゃないか」)落語:厩火事、星野屋、縮み上り、寄合酒、真田小僧酢豆腐

【男は度胸、女は愛嬌】(、坊さんお経、おサルにラッキョウ)(おとこはどきょう、おんなはあいきょう)男女それぞれに必要な特性を対句的に言ったことば。──【広辞苑四版】(落語・らくだ「とにかく相手が相手だけども、まァいいや、男は度胸だと思ってねェ、『ようがす』てんで私が五百文出したン」)落語:歳暮まわし、つるつる

【男やもめに蛆がわく】おとこやもめにうじがわく)男やもめは世話のしてなく、衣食住不自由がち。──【諺語大辞典】 「女やもめに花が咲く」と組み合わせて遣われる。(落語・たらちね「これを言うんだな、“男やもめに蛆がわく”ッてえのは」)落語:ちきり伊勢屋、子別れ、薬違い、不動坊

【一昨日来い】おとといこい)【意味】立ち去れとの罵言。──【諺語大辞典】(講談・寛永御前試合「玄関から、『一昨日来い』と、着のみ着のままで往来へ投り出した」)

【おどろき桃の木山椒の木】おどろきもものきさんしょうのき)驚くということの秀句。──【諺語大辞典】 「えりき(エレキ?)に狸に蓄音機」と続く。「おどろき轟き山椒の木、枯れ木に狸に電熱器」(講談・寛永三馬術)とも。(落語・紫檀楼古木「おどろ木、桃の木、山椒の木、えりきに狸に蓄音機……」)落語:ぢぐち=地口合せ、厩火事 講談:寛永三馬術

【おならして国二ヶ国を得たりけり頭はりまに尻はびっちう】おならしてくににかこくをえたりけりあたまはりまにしりはびっちゅう)(落語・狂歌合せ「『新左即吟に申せ』 おならして国二ヶ国を得たりけり頭はりまに尻はびつちう、『どうも呆れた奴だ』」)講談:曽呂利新左衛門

【鬼が十能】おにがじゅうのう)「鬼ガ十能ヲ抱エタヨウ」十能は炭火を運ぶ火斗なり。醜婦の三絃を弄する形容。──【諺語大辞典】(落語・汲みたて「鬼が棕櫚ぼうきとは情けないな! 鬼が十能はきいているが」)

【鬼に金(鉄)棒】おににかなぼう)堅固なる物の更に堅固なる助けあるをいう。又よきが上に更によき所あるをいう。──【諺語大辞典】 「毛吹草」にもある。(落語・穴泥「一両くださればもう本当に、入質(まげ)てあるどてらが身請けができますんで、もうこうなりゃァ、“鬼に金棒”で……」)《い》講談:猿飛佐助

【鬼のいないうちに洗濯】おにのいないうちにせんたく)「鬼の留守に洗濯」恐ろしい人の居ない間に、十分くつろごうの意。──【江戸語の辞典】 「〜居ぬ間の洗濯」とも。(落語・万金丹「どうだ鬼の居ねえ留守の洗濯だ。一杯やろうぢやアねえか」)落語:鰻の幇間 講談:越後伝吉、小幡小平次

【鬼の霍乱】おにのかくらん)鬼が日射病にかかったり暑気あたりするの意。平生きわめて頑健な人が病気にかかるたとえ。──【江戸語の辞典】(講談・妲妃のお百「所がおゆりの方鬼にも霍亂といふ譬へ、斯んな奴でも病には勝てんものと見えまして風邪の心地で寝たのが初まり、遂には枕も上がらんやうな大病になりました」)落語:妾馬、柳の馬場

【鬼の新金、鬼神の丸尾、情け知らずの大万】おにのしんかね、きじんのまるお、なさけしらずのおおよろず)(落語・文違い「伊勢丹の前に丸井という店があります。あすこのとこがちょうど新金という女郎屋でこれは新宿でも一番大きい見世でした。その当時『鬼の新金、鬼神の丸尾、情け知らずの大万』という唄がありまして」)

【鬼の女房に鬼神】おにのにょうぼうにきじん)「鬼ノ女房ニハ鬼神ガナル」鬼の如き夫にはまた鬼の如き妻ありて連添うをいう。──【諺語大辞典】 「毛吹草」にもあり、「鬼の亭主に鬼人」という言い回し(講談・爆裂お玉)もある。 (講談・国定忠治「其のうちに女房が戸棚から出したのが、三年も前に使った鉄砲、鬼の女房に鬼神とやら、弾を込めて、円蔵にソツト差出した」)《い》落語:政談月の鏡、算段の平兵衛 講談:妲己のお百、西郷南洲、関東七人男、天明白浪〜八百蔵吉

【鬼の目にも涙】おにのめにもなみだ)無情冷酷のもの、亦時あって慈悲心なきにあらざるをいう。──【諺語大辞典】 「毛吹草」にもある。(講談・名刀捨丸「鬼の眼にも涙、襦袢一枚を貰つて、それを着ると細帯を締めて」)落語:地獄八景 講談:鼠小僧次郎吉、安中草三郎、獄門小僧

【鬼も十八、番茶も出花】おにもじゅうはち、ばんちゃもでばな)「鬼も十七、山茶も煮花」とも。鬼のように恐ろしい者でも、年頃になれば見られるものだの意。醜い女でも年頃になれば美しく見える。──【江戸語の辞典】 「毛吹草」に「をにも十八」とある。(落語・地獄八景「ハァ ハァ、鬼も十八か。それにしては鬼がおまへんな」)《い》落語:お七 講談:笹川繁蔵、遠山政談、真柄のお秀、大岡政談お花友次郎

【お庭の桜】おにわのさくら)見るばかりで手に取れぬ、という洒落。「お浦山吹」の項参照。「お庭の桜で唯見たばかり」(講談・盲目吉兵衛)浪曲清水次郎長〜追分の三五郎

【小野の小町か衣通姫、見ぬ楊貴妃はいざ知らず、雪か氷か白鷺か、普賢菩薩の再来か】おののこまちかそとおりひめ、みぬようきひはいざしらず、ゆきかこおりかしらさぎか、ふげんぼさつのさいらいか)「普賢菩薩の再来か、常盤御前か袈裟御前、お昼のご飯 (ぜん)はもう済んだ」(講談・大名花屋、落語・井戸の茶碗ほか)などとも。(落語・姫かたり「“唐土楊貴妃はなんのその普賢菩薩の再来か常盤ご前か袈裟ご前、お昼のご膳はいますんだ”ッてえやつ」)

【己れからよこしまに降る雨はあらで風こそ夜の窓を打つらめ】おのれからよこしまにふるあめはあらでかぜこそよるのまどをうつらめ日蓮上人の歌であるという「おのづからよこしまにふる雨はあらじ風こそよるの窓はうつらめ」による。(講談・小山田庄左衛門「日蓮上人のうたに“己れからよこしまに降る雨はあらで風こそ夜の窓を打つらめ”自分はまっすぐに降る雨だが、横あいから風のためにさそわれて曲って降ることになる」)

【己に出づるものは己に返る】(おのれにいづるものはおのれにかえる)自分のしたことは、よかれあしかれ自分に返ってくる。──【故事俗信ことわざ大辞典】「爾(ナンジ)ニ出ズルモノハ爾ニ反ル」[孟子]出乎爾者、反乎爾也──【諺語大辞典】(講談・猿飛佐助「己れに出ずるものは己れに返る。清海入道こそよい面の皮だ」)

【己れも菊五郎もあるものか】おのれもきくごろうもあるものか)「おのれ」と「尾上」の洒落。(講談・祐天吉松「『ナニ、己れは……』『己れも菊五郎もあるものか』」)

【尾花の末を渡る風の音にも気を止め】おばなのすえをわたるかぜのねにもきをとめ)「薄の穂にも怖ず」薄の穂にも恐れてびくびくする。ほんのちょっとした動きや音にもおどろく。心が落ちつかず、常にびくびくしているさまにいう。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・安中草三郎「脛に疵持つ身尾花の末を渡る風の音にも氣を止め、もしや八州のお役人ではあるまいかと心を置きながら」)

【お髭の塵を払うおひげのちりをはらう)「オ髯ノ塵ヲ取ル〜塵ヲ払ウともいう。媚び諂う所作を罵る語。──【諺語大辞典】(講談・安政三組盃「暇さえあれば主人吉兵衛のお髭の芥をはらいにくる」)浪曲:大久保玄蕃 講談:亀甲縞(治兵衛)

【帯に短し襷に長し】おびにみじかしたすきにながし)「帯ニハ短シ襷ニハ長シ」彼事には過ぎ、此事には足らず、中途半間なるをいう。(落語・富久「帯に短し襷に長しで何うも思ふ様なのは無い」)落語:小言幸兵衛、ちきり伊勢屋、山﨑屋、長崎の赤飯、富久、後の船徳 講談:清水次郎長安政三組盃

【お平の長芋、日蔭の朝顔おひらのながいも、ひかげのあさがお)「オ平ノ長芋」顔だちののっぺりしたる男を嘲りていう詞。平椀の中に盛られたる長芋に比したるなり。──【諺語大辞典】(講談・水戸黄門「何だ馬鹿者め、お平の長芋、日陰の朝顔、色ばかり白くつて、ヒヨロヒヨロして居るといふのは貴様のことを云ふのだ」)落語:木乃伊取り 講談:大名花屋

【お歩行】おひろい)御拾。歩くこと、また赴くことの尊敬語・婦人語。──【江戸語の辞典】(落語・盃の殿様「ちとお庭うちでもお歩行(ひろい)あそばされてはいかがでござりまする」)講談:伊達誠忠録

【帯をも解かずに看病】おびをもとかずにかんびょう)「帯ヲ緩ウス」安心して休息すること。──【諺語大辞典】(講談・左甚五郎「母子の驚きは一方ならず、一生懸命、帯をも解かずに看病しましたが、定命というものか、だんだん重る一方」)講談:鈴木重八

【おぶえば抱かる】おぶえばだかる)「オブオウト言エバ抱カリョウ」恩に狃(な)れて、つけあがる意。「オブエバ抱カリョウ」とも。──【諺語大辞典】(落語・肥瓶「済まねえけどね…そんなことォ言って“おぶえば抱かる”だけども、荒縄でもあったら貸してくんねえかなァ」)

【溺れる者は藁をもつかむ】おぼれるものはわらをもつかむ)【意味】非常な困難にいる者は、何の頼りにならないものでも頼ろうとする。──【広辞苑四版】(落語・永代橋「『溺れる者は藁をも掴む』なんてえますが、苦しまぎれに『わぁッ』と、髷へかじりついたものもあろう……」)講談:清水次郎長、名医と名優、天保六花撰、慶安太平記

【おまえ百までわしゃ九十九まで、共に白髪の生えるまで】おまえひゃくまでわしゃくじゅうくまで、ともにしらがのはえるまで)俗謡。──【諺語大辞典】、夫婦が仲むつまじくともに長生きすること。──【江戸語の辞典】(落語・浮世根問「『おまえ百までわしゃ九十九まで、ともに白髪のはえるまで』なんてえ都々逸があるが、夫婦仲よく共白髪まで添い遂げるというので、あれを飾るなァ」)

【御神酒上がらぬ神はなし】おみきあがらぬかみはなし)酒客の常言。──【諺語大辞典】(落語・かつぎ屋「お酒は好し、大酩酊致しました。唄『御神酒上がらぬ神もなし………』」)

【お神輿を据える】おみこしをすえる)尻を据えて長居するに喩う。──【諺語大辞典】(講談・越後伝吉「この土地にしばらくお神輿を据えるつもりで一昨日江戸を立って」)

【怯めず臆せず(恥らわず)おめずおくせずはじらわずオメズ憚ラズともいう。少しも怖じ憚らざること。──【諺語大辞典】(講談・山中鹿之助「『汝等兩人は思ひの外の馬鹿者である』と怯めず臆せず罵り返しました」)落語:鸚鵡の徳利 講談:寛永御前試合、太閤記、猿飛佐助

【思い中にあれば色外に現る】おもいうちにあればいろそとにあらわる)[大学]誠於中、形於外。[孟子]思有於内、必形於外。──【諺語大辞典】、心の内に思う事があると、自然に顔色にそれが現れる。──【江戸語の辞典】 「毛吹草」では「~いろほかにあらはる」「心うちにうこきてはことばほかにあらはす」。(講談・中村勘助思ふ事内にあれば色外に現るゝ、此方の胸中を見抜かれては一大事ぢや」)幡随院長兵衛、伊賀の水月、木村長門守、鎌倉星月夜

【思い立ったが吉日】(おもいたったがきちじつ)「思イ立ツ日ガ吉日」とも。事を始めるのに猶予すべからざるをいう。──【諺語大辞典】 「きちにち」とも読む。(落語・たらちね「今夜連れてきておくんなさい。思い立ったが吉日です」)落語:甲府い、景清、景清、延陽伯、道具屋、米揚げ笊、素人占い=きめんさん、不動坊 講談:大島屋騒動、左甚五郎、由井正雪山内一豊出世の馬揃い、天保六花撰、難波戦記、岡野金右衛門宮本武蔵、小幡小平次

【思いは二つ身は一つ】おもいはふたつみはひとつ)「思いは四方身は一身」ひとりであれやこれやと気を配ること。「心は二つ身は一つ」あれもこれもと思いはふたつあるが、体はひとつで思うに任せないことをいう。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・太閤記思ひは二つ身は一つ、光俊も暫くは思案に暮れてをりました。それも道理(ことわり)、主将光秀の成行は早く知りたい」)講談:名医と名優、汐留の蜆売り

【思えば思わるる】おもえばおもわるる)我、人を思えば我も亦其人に思わるゝに至る。──【諺語大辞典】(落語・おかめ団子「思へば思はるるで、太助が親孝行でございますから、母親(おふくろ)が門口へ出まして、寒いのに、太助の帰りを待ツてをります」)講談:梁川庄八、天保六花撰、寺井玄渓

【表通りがあって裏通りがある】おもてどおりがあってうらどおりがある)(落語・山崎屋「世間様に対してご披露もちょっと出来兼ねますがそこは表通りがあって裏通りのあるたとえ、狂言を一つ、ここで書けばいいわけです」)

【重荷に小附け】おもににこづけ)【意味】あるが上に負担の増加する譬。──【諺語大辞典】 「毛吹草」にもある。(講談・伊達誠忠録「『オヤオヤ重荷に小附けか、雷様まで鳴り出したぞ、こいつは堪らねえ』」)

【面伏】おもぶせ)めんぼくない、恥ずかしい。「おもてぶせ」とも読む。──【江戸語の辞典】(講談・伊賀の水月「ご当家は面伏だから参れん」)

【親思ふ心に優る親心今日のおとづれ何ときくらん】おやおもうこころにまさるおやごころきょうのおとずれなんときくらん)(講談・西郷南洲「死罪の人々は十月末に小傳馬町の牢屋で首を斬られる。その時吉田松陰は、親思ふ心に優る親心今日のおとづれ何んときくらん」)

【親が女郎を買って子が後生を願う】(おやがじょうろをかってこがごしょうをねがう)「親父ノ夜アルキ、息子ノ看経」顛倒の意。──【諺語大辞典】 普通は親が堅く信心をし、子が道楽をするものと相場が決まっているが、逆の場合もあるということ。(落語・真景累ヶ淵「今の世は逆さまだ、親が女郎を買つて子が後生を願ふと云ふ唄の通りだ」)

【親が死んでも食休み】おやがしんでもしょくやすみ)【意味】食後の休息は、如何なる場合にも必要なりとの意。──【諺語大辞典】(落語・乾草車「親ァ死んでも食休みっちゅうことアンからなァ。いま一服つけて、それから出かけるでェ、待っておくんなせえナ」)講談:慶安太平記 浪曲:越後伝吉

【おやかす】おやかす)【意味】「おやす」とも。陰茎を勃起させる。亀が首をのばす。(落語・松引き「夫れにどたまおやかせと云ふのだ、どうおやかすのだ」)

【親兄弟を振り捨てても殿御に尽くすのが世の訓】(おやきょうだいをふりすててもとのごにつくすのがよのおしえ)(落語・長崎の赤飯「かまいませんとも。親兄弟を振り捨てても殿御につくすのが世の訓。女というものは夫に従えばよいものと申します」)落語:真景累ヶ淵

【親子は一世、夫婦は二世、主従は三世】おやこはいっせ、ふうふはにせ、しゅうじゅうはさんせ) 「親子は一世」親子の関係はこの世だけのものである。夫婦の因縁は現世だけでなく来世にもつながる。「二世」現世と来世。「三世」過去・現在・未来。また、前世・現世・来世。──【広辞苑四版】 続けて「〜間男はよせ」と洒落ることもある。「毛吹草」には「し(「師」)は三世」とある。──師弟は三世の縁なりとの意。【諺語大辞典】(落語・風呂敷「ェェ“親子は一世で夫婦は二世、ェェ、主従三世、間男はよせ[四世]”ッてえくらいのもんで……」)落語:お見立て 講談:梁川庄八、岩見重太郎、旗本五人男、寛永三馬術、安中草三郎

【親というものは拵えようと思ってできんものだ】おやというものはこしらえようとおもってできんものだ)(講談・幡随院長兵衛「親といふものは拵へやうと思つて出來んものだ。お母さんはお前をば杖とも柱とも思つて居るんだから、お母さんに心配をかけないやうに、大切にして遣んなさい」)

【親亡き後に親の家を立派に立てるのが孝の道】おやなきあとにおやのいえをりっぱにたてるのがこうのみち)(講談・清水次郎長「跡は次郎長が家督相續、親亡き後に親の家を立派に立てるのが孝の道」)

【親なき後は伯父が親】おやなきあとはおじがおや)「親ナキ後ハ兄ヲ親トセヨ」──【諺語大辞典】「親亡き後は姉が親」(講談・天保六花撰、加賀騒動)、「兄が親」(落語、講談・赤垣源蔵)。(講談・横川勘平「イヤ親亡き後は伯父伯母を親と心得なければならぬ」)落語:藁人形 講談:越後伝吉

【親に先立つのは不孝】おやにさきだつのはふこう)親よりも先に死んで、親を悲しませることは不孝である。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・近江聖人「親に先立つは不孝とはいいながら、父母の名を擧げ家を起す、遖れ孝子の典型といふべきでございます」)

【親に似ぬ子は鬼っ子】おやににぬこはおにっこ)父母に似ぬ子は人の子にあらず。──【諺語大辞典】 「毛吹草」にもある。(落語・やかん「あれはまことにどうも親に似ない子は鬼ッ子といふんで、ありゃ困りますよ」)落語:菊江の仏壇、講談:野狐三次、祐天吉松、寛永御前試合

【親の因果が子に報い】おやのいんががこにむくい)親のした悪業の結果が子供に報いてわざわいをする。──【広辞苑四版】(講談・天野屋利兵衛「ハイ、親の因果が子に報う、私の代りに拷問にかければ、親子の情にほだされて、白状すると思し召しましょうが、いっかな利兵衛は申し上げることはなりませぬ」)落語:ちきり伊勢屋、道具屋、お七 講談:新吉原百人斬り、寺坂吉右衛門

【親の思うほどに子は思わん】おやのおもうほどにこはおもわん)「親ノ思ウ程、子ハ思ワヌ」A father maintains ten children better than ten children one father. ──【諺語大辞典】(落語・花筏「足の一本……親の思うほどに、子は思わんてなあ。角力でも何でも取りくされ。勘当じゃ、この親不孝者」)

【親の心子知らず】おやのこころこしらず)【意味】親の心を知らないで、子が勝手な振る舞いをする。──【広辞苑四版】 「毛吹草」にもある。(講談・寛政力士伝:「此方はどうかして五分に取らせたいと思ふから勇氣を附けると、笑ひながらも一口に喰つてしまふといふ了簡、これを俗に云ふ親の心子知らずと申しませうか」)落語:よかちょろ、干物箱、にゆう、六尺棒、双蝶々〜下、素人浄瑠璃=寝床、真景累ヶ淵 講談:寛政力士伝、清水次郎長赤穂四十七士伝、西郷南洲、加賀騒動、本所五人男

【親の臑かじる息子の歯の白さ】おやのすねかじるむすこのはのしろさ)「親ノ臑カジル」子の親に養わるゝを譏りていう詞。[川柳]──【諺語大辞典】(落語・唐茄子屋「『親の脛かじる息子の歯の白さ』という川柳がある。歯は磨くんじゃねえ、料簡を磨け。塩でぐずぐずッとやっておけばいいんだ」)落語:立浪

【親の光は七光】おやのひかりはななひかり)親の余光の限りなきをいう。──【諺語大辞典】編者注:「親の光は名の光」とも。 「毛吹草」に 「おとこのひかりは七ひかり」とあるのは、「男の子、男親の恩恵が大きい」の意。(講談・両越大評定「これは世に謂ふ親の光は名の光、間違へて七光。お杯を頂戴いたして、誠に美作喜悦表面に溢れました」)講談:清水次郎長、木村長門守、小金井小次郎

【親の不肖は子の不肖】おやのふしょうはこのふしょう)(落語・井戸の茶碗「“親の不肖が子の不肖”で、飾れば結構な娘さんですけれども、着ているものはてえと、ほんとうに粗末なもので」)

【親の眼から見りゃ茗荷畑も花盛り】おやのめからみりゃみょうがばたけもはなざかり)「茗荷畑モ花盛リ」鬼モ十八といふ類。──【諺語大辞典】(浪曲・正宗孝子伝「親の眼から見りゃ茗荷畑も花盛りと云うが、親が見てすら醜いのじゃ」)

【親のものは子のもの】おやのものはこのもの)「親ノ物ハ子ノ物、子ノ物ハ親ノ物」親子は一体のものなれば也。──【諺語大辞典】落語などでは、主に道楽息子が遊びの資金を親に無断で持ち出す時の屁理屈である。(講談・幡随院長兵衛「ナアニ構やアしません、親の者は子の者で、私が持つて參りませう」)落語:真田小僧 講談:伊賀の水月

【親馬鹿ちゃんりん、そば屋の風鈴】おやばかちゃんりん、そばやのふうりん)「親馬鹿」子に対する愛情に溺れた親が、他からは馬鹿に見え、またはわが子の欠点に気づかぬこと。子に甘い親の愚かさ。──【江戸語の辞典】これを揶揄(自嘲)した表現。昔の夜鳴きそば屋の屋台には風鈴が下がっていた。(落語・崇徳院「そうかい、いや、親馬鹿ちゃんりんとはよく言ったものだなァ。いつまでも子供だ子供だと思ってたが……」)落語:時そば、子別れ 講談:水戸黄門、岩見重太郎

【親はなくとも子は育つ】おやはなくともこはそだつ)「親は無けれど子は育つ」親は死んでも、残った子は成長していくものだ。──【江戸語の辞典】(落語・茄子の子「成程諺にも云う通り、親はなすとも子は育つ」)落語:子別れ、茄子の子 講談:幡随院長兵衛、赤穂義士本伝、安中草三郎、誰が袖音吉

【親は離縁のならぬもの】(おやはりえんのならぬもの)(講談・忠臣二度目の清書「妻は離縁のなるもの、親は離縁のならぬもの」)

【親船に乗った気で】おやぶねにのったきで)外海を航行する大船に乗った気持の意。安心して頼ること。──【江戸語の辞典】(講談・国定忠治「マア安心して此處ならお前へ、親船に乗つた気で居なせへ」)落語:居残り佐平次、近日息子 講談:越後伝吉

【親よりも先に見限る幇間おやよりもさきにみかぎるたいこもち)(落語・素人占い「『親よりも先に見限る幇間』などと、いろいろ悪口を言つてあります」=きめんさん)

【親を思わぬ子はあれど、子をば思わぬ親はなし】おやをおもわぬこはあれど、こをばおもわぬおやはなし)(講談・ピノッキオの冒険「親を思わぬ子はあれど、子をば思わぬ親はなし、と申します。そうとは知らないゼペットは」)

【親を見ること子に如かず】おやをみることこにしかず) 「子を見ること親に如かず」の逆。だが、諺として広く認知されているかどうかは不明。(講談・春風臆病問答「それが判らぬか。親を観ること子に若かず。やはり回転が一段とにぶいわい」)

【及ばぬ鯉の瀧登り】およばぬこいのたきのぼり)及バヌ恋という秀句。──【諺語大辞典】(講談・猿飛佐助「ハハハハハ、到頭白状したな。及ばぬ鯉の瀧登り、マア諦めるに限るよ」)落語:紺屋高尾

【俺が俺がの「が」を捨ててどうもどうもの「も」で暮らせ】おれがおれがのがをすててどうもどうものもでくらせ)(講談・雲居禅師「これを分かりやすく言うと、何でございましょうか。『俺が俺がのがを捨てて、どうもどうものもで暮らせ』」)

【尾を振る犬は叩かれぬ】おをふるいぬはたたかれぬ)柔順なる者に対しては、過酷なる処置を為し難し。瞋レル拳笑顔ニアタラズと同意。──【諺語大辞典】(講談・安中草三郎「兎角世の中は妙なもので尾を振る犬は叩かれぬとか申しますが」)

【隠田百姓作り取り】おんでんびゃくしょうつくりどり)租税を納めざる田地を作る百姓は、収入のみにて、支出の義務 なし。──【諺語大辞典】 「隠田」とは、領主に年貢をおさめない「かくし田」のこと。「作り取り」は、全収穫を自分のものにすること。バクチなどで、 勝った分を総取りしてしまうときなどにもこういう。(講談・鼠小僧次郎吉「お前方の資本だ十両ずつまわしておくよ、穏田百姓作り取りだ。勝ったら勝ち徳、負けたら負け徳としてやんなせえ」)

【女氏なくして乗る玉の輿】おんなうじなくしてのるたまのこし)「うじ無くて玉の輿」女は血統や家柄がいやしくても、美しくりっぱな輿に乗ることができるとの意。容貌次第でどんな出世もできることのたとえ。──【江戸語の辞典】 「毛吹草」にもある。(落語・妾馬「女氏なくして乗る玉の輿なんというたとえがあります」)講談:水戸黄門、慶安太平記

【女(婦人)賢しうして牛売り損なう】おんなさかしうしてうしうりそこなう)「女サカシクシテ牛売リソコナウ」女の怜悧なるは、かえりて事を仕損ずる事あるをいう。──【諺語大辞典】(落語・小言幸兵衛「『女さかしゅうて豚売りそこなうとは手前のことだ』『お爺ィさん、まちがってるだろう? 牛売りそこなうだろう?』」)落語:小言幸兵衛、相撲の蚊帳、隅田の馴染め

【女というのは気の狭いもの】おんなというのはきのせまいもの)(落語・あり「女というものは気のせまいものだから、女とでも暢気に遊んで歩いていたとでもお前は思うかしらんが、なかなかそんなものではない」)

【女に嫌われる者はどこか血のめぐりの悪いところがある】おんなにきらわれるものはどこかちのめぐりのわるいところがある)(講談・関東七人男「ヘェーわかりませんか。女にきらわれるものは、どこか血のめぐりの悪いところがあるんじゃないですか」)

【女に悋気がないのと刺身に大根がついてないのと、辛子がきかんのはすぼらかでたよりない】おんなにりんきがないのとつくりにけんがついてないのと、からしがきかんのはすぼらかでたよりない) 「すぼらか」は「みすぼらしい」の意。(落語・三枚起請「そら、私かて、女やもん、悋気のひとつぐらいは知ってる、女に悋気のないのと、刺身に大根のついてないのと、辛子のきかんのは、すぼらかでたよりない、ぐらいのことは知ってるけど」)

【女の一念岩をも通す】おんなのいちねんいわをもとおす)「女ノ一念岩ヲモ透ス、男ノ一念寝間ニ糞タレル」女の執念は男子よりも強盛なるをいう。──【諺語大辞典】 「毛吹草」に「ねんりきいはをとをす」とあるが、これは女に限らないか。(講談・越後伝吉「女の一念岩をも通す、お仙は一生懸命だから、突き飛ばした家來の手をグイと引く」)

【女の黒髪は大象をも繋ぐ】おんなのくろかみはたいぞうをもつなぐ)「女ノ髪ノ毛ニハ大象モツナガル」女性の人心をひく力の強さをいう。──【諺語大辞典】(講談・笹川繁蔵「女の髪の毛は象を繋ぐと譬にもいうくらいですから、大したもの」)講談:田宮坊太郎、柳沢昇進録

【女の目には鈴を張れ】おんなのめにはすずをはれ)「女ノ目ニハ鈴ヲハレ男ノ目ニハ糸ヲヒケ」男の目は細きがよく、女の目は大きなるがよしと也。──【諺語大辞典】(落語・三年目「能く女の目には鈴を張れというが、鰐口でも張りそうな、パツチリとした二重瞼で睫毛が長くつて、黒目勝で……尤も白目勝では見えないけれども」)落語:阪東お彦=派手彦 講談:柳沢昇進録

【女の利巧と男の馬鹿とつっ支う】おんなのりこうとおとこのばかとつっかう)「女ノ利根(リコウ)ヨリ男ノ馬鹿ガヨイ」──【諺語大辞典】(落語・火焔太鼓「ここをいうんだよ、『女の利巧と男の馬鹿とつっ支う』ってなあ」)

【女は御色気の水上】おんなはおいろけのみなかみ)(落語・薬違い「女は御色気の水上とか言ひまして、尤も御女中は御大切の者に相違ない様な訳ですが、日本では酷く女と云ひますと抑へ斥けてあります」)落語:新治療あー疝気の虫

【女は気の小さいもの】おんなはきのちいさいもの)(落語・樟脳玉「女てえものは気の小さいものでございますから、金や着物に気が残ってるから寺へでも納めなさい」)

【女は口のさがなき者】おんなはくちのさがなきもの)「女ハ口サガナシ」多弁なるをいう。──【諺語大辞典】(講談・水戸黄門「何だつて宜いぢァねえか、女は口の善惡なき者」)

【女は三界に家なし】おんなはさんがいにいえなし)「三従」婦人有三従之義、無専一之道、故未嫁従父、既嫁従夫、夫死従長子、故父者子之天也、夫者妻之夫也。──【諺語大辞典】 「毛吹草」に「をんなに家なし」とある。(落語・風呂敷「女はさんがいに家なしということばがある、知ってるか? それは、女というものは三階にいて降りてくるッたって、たいへんだよ」)落語:夢金、お文様=前半は権助魚、擬宝珠

【女は百年の苦楽を良人とともにする】おんなはひゃくねんのくらくをおっととともにする)「女は百年の苦楽他人に依る」女は親・夫・子に頼るから、一生の苦楽はみな他に依存しなければならないの意。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・佐倉宗五郎「旦那様、女は百年の苦楽を良人(をつと)と共にいたすといふことは、兩親から豫て聞いて私も存じて居ります」)

【婦女ほど世にも尊きものはなし釈迦も孔子もヒョコヒョコと産む】おんなほどよにもとうときものはなししゃかもこうしもひょこひょことうむ)(落語・お血脈女ほど世にも尊ときものはなし釈迦も孔子もヒヨコヒヨコと産むと申しまして、お釈迦様でも孔子様でも、英雄でも豪傑でも、我々見たやうな空ツ穴(けつ)でも皆な婦人から成立つのでございます」)落語:隅田の馴染め

【女やもめに花が咲く】おんなやもめにはながさく)女やもめは男やもめに対し世話をやきたがる者多く、景気よし──【諺語大辞典】(落語・お化け長屋「その時が恰度死んだ亭主が五十幾歳で内儀さんが四十幾歳だよ、寡婦に花が咲くで初めの内こそ質素にして居たが」)落語:子別れ

【御の字】おんのじ)【意味】すぐれてよき物をいう。──【諺語大辞典】(落語・文七元結「もう五十両あれば、御の字なんで」)落語:らくだ

陰陽師身の上知らず】おんみょうじみのうえしらず)医者の不養生、紺屋の白袴の類。──【諺語大辞典】 「毛吹草」にもある。(講談・荒木又右衛門「陰陽師身の上を知らず、醫者は自分の病を知らぬと申しまする事もございます」)《い》実録:おこよ源三郎

【恩を仇で返す】おんをあだでかえす)「恩を仇で為る」恩を受けながら、かえって害を与える。──【江戸語の辞典】(落語・狸の釜「アレッ、化けやがつたな、此ン畜生恩を仇で返すてえのは汝の事だ」)講談:寺坂吉右衛門

【恩を受けて恩を知らぬは人でなし】おんをうけておんをしらぬはひとでなし)「恩ヲ受ケテ恩ヲ知ラヌハ鬼畜ノ如シ」──【諺語大辞典】 「毛吹草」に「恩をみて恩をしらぬは鬼畜のごとし」とある。(実録・大岡政談後藤半四郎「然様思し召は成程御道理恩を受て恩を知ぬは人でなしとは云ものゝ力業にも届かぬは金の才覺」)

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