増補・話芸きまり文句辞典

落語・講談によく出ることば(改装中)

【五一三六】ぐいちさぶろく)ばくちのさいの目の五一と三六のことで、どれもねうちのない数。転じて、優劣のないこと。また、物に順序がなく雑然としていることにいう。──【故事俗信ことわざ大辞典】、「五一」二個の賽に五の目と一の目が出ること。双六で五一は数にな らぬ。これを「目がない」という。「五一三六」二個の賽に三の目と六の目が出ても、五一と同様。よって価値のない点では双方同じ、優劣なし、平等などの意 に用いる。──【江戸語の辞典】「五一三六」双六の語。──【諺語大辞典】(落語・唐茄子屋「金持の坊っちゃんでも、貧乏人の伜だって五一、三六でございますから」実録・妲妃のお百「數多の子分も持ちし身なれど、五一三六打續く不仕合に詮方なく、子分と五人、其頃奢りを極めたる桑名屋徳兵衛方へ押込み」)

【食い物と金には迷うもの】くいものとかねにはまようもの)(講談・富森助右衛門「所が時々食事をする居酒屋で懇意になつたのが吉良家の仲間、食物と金には迷ひますもの」)

【空腹にまずいものなし】くうふくにまずいものなし)「ヒダルイ時ニマズイモノナシ」──【諺語大辞典】、周防山口付近の俗諺──【故事俗信ことわざ大辞典】「空腹は最高のソースである」(「至善至悪論」キケロより、ソクラテスの言葉。「ドン・キホーテ」にも同様のことばがある)(講談・徳川天一坊「やれやれ助かったな、空腹にまずいものなしとは言ったが、あー茶はまだ来んかな」)落語;出来心

【臭い飯を食う】くさいめしをくう)入獄すること。──【諺語大辞典】(講談・安政三組盃「暗い所へ放りこんで、臭い飯を食わせようと、どうしようと、おまはんの勝手だ」)

【臭い物には蓋】くさいものにはふた)醜事汚行を隠匿するに喩う。──【諺語大辞典】(落語・真景累ヶ淵「仕方がない。くさいものにはふたをしろ」)《い》

【草木も眠る丑三つ時、家の棟も三寸下がり、水の流れも止まる】くさきもねむるうしみつどき、やのむねもさんずんさがり、みずのながれもとまる)(講談・太閤記「時は草木も眠る丑満時、人の呼吸(いき)さへ數へられる程寂莫(ひつそり)としてをります」、原惣右衛門草木もねむり、流れの水もとまるという丑三ツの頃」)落語:そばの殿さま、ろくろっ首、搗屋幸兵衛、植木のお化け、竃幽霊、やかん泥、質屋庫、能狂言。お化け長屋、河村瑞賢 講談:四谷怪談〜伊藤喜兵衛の最期、応挙の幽霊画、太閤記

【臭物身知らず】くさきものみしらず)「臭イモノ身知ラズ」息ノ臭キハ主知ラズともいう。我身の弱所欠点を覚知せざるに喩う。──【諺語大辞典】(講談・大石内蔵助「あの晝行燈でなければ勤まらぬとは、臭い者身知らずとは此の事だ」)講談:梁川庄八、両越大評定、北斎と文晁、富蔵藤十郎、蘇生

【腐っても鯛】くさってもたい)すぐれた価値のあるものは、いたんで駄目になったようでも、やはりそれだけの価値があるというたとえ。──【故事俗信ことわざ大辞典】 「毛吹草」に「くさりてもたい」とある。(講談・関東七人男「今では稼業を止めて小崎村で堅気な百姓、しかし腐っても鯛で、まだまだ顔を出せば十分に押しのきく、立派な親分でございます」)《い》落語:鼻きき源兵衛 講談:鼠小僧次郎吉

【草を分け瓦を起こしても】くさをわけかわらをおこしても)「草を分けて捜す」あらゆる手段をつくして、残るところなくすみずみまで捜し求める。草の根を分けて捜す。ある者の行方を探し求めること。(講談・祐天吉松「草を分け瓦を起して御詮索になつたが、何處へ行つたか行方が全く分らなくなりました」)

【串柿抜き】くしがきぬき)「串柿ノ抜キ食」少しずつ漸次消耗する喩。(講談・大岡政談お花友次郎「惚れた女の言ふがまにまに、串柿抜きに減つて行く」)

【櫛の歯を引くがごとき】くしのはをひくがごとき)間断なく連続する喩。──【諺語大辞典】(講談・太閤記「山崎表からは櫛の齒を引く如き注進、頻りに味方の旗色宜しからざる事を報じて參ります」)講談:鉢の木、徳川天一

【九尺二間に過ぎたるものは紅のついたる火吹き竹】くしゃくにけんにすぎたるものはべにのついたるひふきだけ) (落語・お化け長屋「『九尺二間に過ぎたるものは、紅のついたる火吹き竹……だよォ』なんて唄(や)ってんのさ」)

【九十九久保、百本多】くじゅうくくぼ、ひゃくほんだ)「九十九久保ニ百本多、水野ノ苗字数知レズ」徳川氏旗下に久保、本多、水野の姓多かりしをいう。──【諺語大辞典】 「九十九大久保、百本多(くじゅうくおおくぼ・ひゃっぽんだ)」(浪曲・大久保玄蕃)ともいうらしい。(講談・魚屋本多「俗に九十九久保、百本多と申しまして、大名旗本御家人の中でも大久保と本多という家が多うございました」)実録:鳥追阿松海上新語=鳥追お松

【九十九事成って百事に満たず】くじゅうくじなってひゃくじにみたず)(講談・由井正雪「噫……斯くまでに謀つて露顯をいたしたは殘念のことだ、九十九事成つて百事に滿たず」)

【九字を切る】くじをきる)六甲秘呪とて臨兵闘者皆陣(陳)列在前の九字を誦する時は、禍を避け、妖を除くという、もと道家より起りて密家にも用いらる。──【諺語大辞典】 唱えながら、右手の指で縦横に線を引く。僧や山伏が使う。(落語・居残り佐平次「ひとの知 らない術を用いるんでしょう(と、九字を切る形をする)へへ、色魔、えへゝへゝへ」)落語:蛙茶番 講談:猿飛佐助

【楠孔明糞を喰らえ】くすのきこうめいくそをくらえ)(講談・塚原ト伝「どうもお武家様有難う存じます、孔明糞を喰へ、大した智慧でございますね」)

【薬九層倍】くすりくそうばい)売薬の巨利あるをいう。──【諺語大辞典】 「くすり」と「くそうばい」は語呂合せ。(落語・黄金餅「いえ、くすりはのまないんです。くすり九層倍ッてもうけられちゃいますからね」)

【薬にしたくもない】くすりにしたくもない)少しも無しの意。──【諺語大辞典】(講談・水戸黄門「そうだとも、遠慮なんぞは薬にしたくもねえんだ」)

【薬能書ほど効かず】くすりのうがきほどきかず)薬の効能書きは、あまりあてにならないという意。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・伊賀の水月「がコレ薬能書ほど利かずとか、そちの話をおれは正当とは思わん」)講談:梁川庄八

【下さる物なら夏も小袖】くださるものならなつもこそで)くれるものなら何でももらう、遠慮はしないほうがよい。ま た、欲が深いことのたとえにもいう。「小袖」は絹の綿入れで、夏には不用の物。「戴く物なら〜」とも。──【故事俗信ことわざ大辞典】 「貰う物なら~」 とも。「〜冬も帷子」も同じ意味。(落語・乳房榎「頂戴してはすまないが、下さる物なら夏も小袖、下さるならそれにこしたことはございません」)

【口明け】くちあけ)物事の始め。多く、その日の商売のかわきりをいう。──【江戸語の辞典】(落語・辻駕籠「今晩私達二人口明けでございますが幾らでも宜しうございます」)講談:汐留の蜆売り、小山田庄左衛門

【口が干上がる】くちがひあがる)糊口の道を失うこと。──【諺語大辞典】(落語・お化け長屋「雨に続かれた日にやァ夫れこそマゴマゴすると店賃に追われて口が干上がつちまわァ」)

【口果報】くちがほう)飲食物に対する運。その運の良い・悪いを「口果報が有る・無い」という。──【江戸語の辞典】(落語・お藤松五郎「ここでお酒をごちそうになれるなんてえのはとんだどうも、口果報だね」)

口が横に裂けたるまま】(くちがよこにさけたるまま)「口ハ横デモ物ハ眞直ニイエ」口は横に切れおれども、言語は正直なるべしとなり。──【諺語大辞典】 口が横に切れているように、言うことまでも邪である、ということ。(講談・伊賀の水月「うぬ口の横に裂けたるまま、法外の雑言を申する奴」、寛永御前試合「口の横に裂けたるまま慮外なことを申す」、宮本武蔵口は横に裂けたりとはいえ、散々の悪口雑言」)

【口さがなきは女の習い】くちさがなきはおんなのならい)「女は口のさがなき者」に同じ。「口サガナキハ下衆ノ常」下臈ノ常ともいう。下等社会の多弁なるをいう。──【諺語大辞典】(実録・天明水滸伝「何國(いづく)の浦にも口のさが無きは女の習ひにて」)

【口に風邪をひかせる】くちにかぜをひかせる)無用の弁を弄すること。──【諺語大辞典】(講談・天保六花撰「口に風をひかせるよりは、まあまあ家へけえって、一杯やろうか」)

【口は禍の門・舌は禍の根】くちはわざわいのもん〔かど〕、したはわざわいのね)うっかり言ったことがもとで災難を招くことが多いものだ。ことばはつつしむべきであるという戒め。(講談・男くらべ「口は禍の門、舌は禍の根、よしなきざれ言が元となり、千金の友を失つた高虎は日本一の愚か者」)落語:巌流島、柳の馬場、無学者、王子の幇間 講談:水戸黄門、寛政力士伝、名医と名優、寛永御前試合、小金井小次郎

【唇亡びて歯寒し】くちびるほろびてはさむし)唇破レテともいう。利害の関係親密にして、一方亡ぶるに随い、他も亦影響をうくるをいう。──【諺語大辞典】(講談・太閤記唇亡びて齒寒し、織田が滅亡すれば、それだけ御當家も滅亡に近付くわけでござる」)

【口不調法】くちぶちょうほう)口べた。──【江戸語の辞典】(落語・寝床「てまえが口不調法だもんですから、なにを……さァ、うかがいましょう、さァッ、お語り……」)落語:狂歌家主 講談:倉橋伝助

【口弁口が良い】くちべんこうがよい)(落語・言訳座頭「お前さんが口弁口でも宜くつて何とか巧く瞞着(ごまか)して、今の所は此の始末でどうにも可けませんからとか何とか言へれば宜いが」)

【口前が旨い】くちまえがうまい)言う事。言い方。または巧みな言い方、お世辞。──【江戸語の辞典】(講談・梁川庄八「其處は商賣柄、口前は旨い」)

【口も八丁手も八丁】くちもはっちょうてもはっちょう)話すこともすることも、非常に達者であること。能弁で手腕もある人のこと。ほめる意味で用いるよりも、けなして言う場合のほうが多い。──【故事俗信ことわざ大辞典】(落語・かはりめ「口も八丁、手も八丁、男優りとか、亭主優りとか云ふ内儀(かみ)さんならば、又勘弁の仕やうもあらうけれども、和女(てめえ)のは何んだい」)落語:熊の皮 講談:清水次郎長、祐天吉松、伊賀の水月

【国に盗賊、家に鼠(の絶えざる習い)(釈迦に提婆、落語家にあくび)】(くににとうぞく、いえにねずみ)「家に鼠、国に盗賊」と同じ。物事には、必ず、それを害するものが内部にひそんでいる。──【故事俗信ことわざ大辞典】 「毛吹草」に「國にぬす人 家にねずみ しやかにだいは」とある。(落語・お七「国に盗賊、家にねずみ、釈迦に提婆、落語家(はなしか)にあくびなどは敵薬のうちで」)落語:道具屋、全快 講談:水戸黄門、徳川天一坊、獄門小僧

【国乱れて(亡びんとして)忠臣現れ、家貧(しくして)にして孝子出づ】くにみだれてちゅうしんあらわれ、いえひんにしてこうしいづ) 「国乱れて忠臣現わる」国家が乱れて危機に瀕した時に、真の忠臣が現れる。または、誰が真の忠臣であるかということが知れる。「家貧しくして孝子顕わる」 家が貧乏だと、子供も家のために働かなければならず、その善行が孝行な子としてはっきり人に知られる。逆境のときこそりっぱな人物が表面にあらわれる。 ──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・赤穂義士本伝「國乱れて忠臣現はれ、家貧にして孝子出づ播州赤穂の浪士四十七士の忠魂義膽は今の世までも香しく語り傳へられて居ります」)講談:相馬大作、加賀騒動

くの字なりに座る】(くのじなりにすわる)「くの字なりにも」(ひらがなの「く」の字が曲がっていることから)曲がりなりにも。どうやらこうやら。かろうじて。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・安政三組盃「四角四面にしていちゃァお客がは入りずらいから、平仮名のくの字のように横っちょに坐って」、関東七人男「林蔵の前へ九の字なりにすわり」)

【苦は楽の種、楽は苦の種】くはらくのたね、らくはくのたね)労苦して後、安楽を得べし。楽ハ苦ノ種ともいう。──【諺語大辞典】 「毛吹草」に「たのしひはかなしひのもとひ」「わさわひもさいはいのはしとなる」とある。(落語・湯屋番「苦は楽の種とか、楽は苦の種とか言つて、楽しみの中にも苦しみがありますものだそうで」)

【首くくりの足を引っ張る】(くびくくりのあしをひっぱる)「首縊りの足を引く」首をくくろうとする人の足を引っ張るような、血も涙もないうひどいことをすること。(講談・梶川与惣兵衛「俗にいう首くゝりの足を、引っ張るような真似をして、己の慾のみを満たそうとは、憎んでも慊らぬ奴である」)落語:富久、豆屋

【首と釣替えの判証文】くびとつりかえのはんしょうもん)「首と引き替えのもの」命ととりかえるほど大切なもの。印鑑、証文などをいう。──【故事俗信ことわざ大辞典】、「印形ハ首トツリカヘ」実印の大切なるをいう。──【諺語大辞典】(落語・言訳座頭「首と釣替の判証文をしたものでさへ約束通りに返されねえものだ」)

【首と胴との生別れ】くびとどうとのいきわかれ)「笠の台の生き別れ」切られて首と胴が別々になること。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・小金井小次郎「此の黒田丑之助が小次郎の身體に近づけば首と胴との生別れ、何の雜作もないこと」)

【倶不戴天】ぐふたいてん)「不倶戴天」に同じ。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・赤穂四十七士伝「其手合が倶不戴天の時を得て主の怨敵上野ござんなれと斬り込んだ時に自己(わし)が附人で見さつしやれ」)

【熊鷹眼】くまたかまなこ)慾深く獲物をあさる目つきをいう。──【諺語大辞典】(講談・三家三勇士「と兄弟が熊鷹眼で、そこよこゝよと探しまわる」)

【汲む酒はこれ風流の眼なり月を見るにも花を見るにも】くむさけはこれふうりゅうのまなこなりつきをみるにもはなをみるにも)(落語・長屋の花見「『汲む酒はこれ風流の眼なり、月を見るにも花を見るにも』……まず酒肴がなくちゃァいけねえ」)

【雲のかかるは月のため風のちらすは花のため雲と風とのありてこそ月と花とは尊けれ】くものかかるはつきのためかぜのちらすははなのためくもとかぜとのありてこそつきとはなとはとうとけれ) 「朝顔日記」の主人公・儒者熊沢蕃山の詩。(講談・朝顔日記)

【蜘蛛の子を散らす】くものこをちらす)ちりぢりばらばらになる形容。──【諺語大辞典】(講談・安政三組盃「蜘蛛の子を散らすように散乱した」)落語:うそつき弥次郎

【雲を霞と逃げ去る】くもをかすみとにげさる)「雲ヲ霞ニ」雲を霞に逃ぐるなどいう、元来は雲を分け霞を分けて逃れ去る意なりし也。──【諺語大辞典】(講談・国定忠治「アツとばかりに驚いて、何れも其處へ唐丸籠を捨て雲を霞と逃げ出した」)講談:梁川庄八、赤穂四十七士伝、寛永御前試合

【位山登りて辛き老いの坂麓の里ぞ住みよかりける】くらいやまのぼりてつらきおいのさかふもとのさとぞすみよかりける)「老ノ坂」 [新千載集]老ノ坂又こえぬべき年のくれいそがぬしもぞ苦しかりける──【諺語大辞典】を踏まえた歌か。水戸光圀公が隠居に際して詠んだという歌。「位 山」は飛騨の国にある山で、歌枕である。その峰は高位高官に例えられる。島崎藤村「夜明け前」にも出てくる。「くらゐ山のぼるも辛し老の身はふもとの里ぞ 住みよかりけり」とも。(講談・水戸黄門「『位山登りて辛き老の山麓の里ぞ住み宜かりける』是は高きに在るよりは、低きに在る方が氣散じで宜いといふ思召しから右様の歌をお詠みになつたものと見えます」)講談:水戸西山公

【くらいぬけ】くらいぬけ)飲食に貪欲な人を罵っていう語。──【江戸語の辞典】(落語・湯屋番「こいつァなかなか酒の方は強いよ。くらいぬけだよ」)

【苦しい時の神助け】くるしいときのかみだすけ)「苦しい時の神頼み」ふだん神仏を信仰しない人でも、苦しい時は神仏に祈って、その助力を請おうとする。転じて、ふだんうとんじてつき合わないような人に、苦しい時だけ頼ろうとすること。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・越後伝吉「食事がすむと、苦しい時の神頼みとはよくいったもので」)とも。(講談・宮本武蔵「イヤイヤ苦しい時の神助け、咽もと過ぐれば熱さを忘れるということがあるからの」)

【車を横に押す】くるまをよこにおす)車を横に押すように、道理に合わぬことを強引に行なう。──【故事俗信ことわざ大辞典】 「横車を押す」。(講談・名月若松城「一体どうしてこうまで西村には車を横に押されるのかと、奥方までが御心配になりまして」)

【廓(くるわ、またはさと)の金には詰まる(も尽きる)が習い(大山も尽きる)】(くるわのかねにはつまるがならい) 遊里での遊びに使う金には、だれでもいつかは必ず窮するようになるのが常である。──【故事俗信ことわざ大辞典】(落語・反魂香「末は 夫婦と約束をしたが、さて、廓の金には尽きるがならい」)落語:唐茄子屋、反魂香、粟田口 講談:笹野名槍伝、鼠小僧次郎吉、天保六花撰、幡随院長兵衛、加賀騒動、富蔵藤十郎、二度目の清書

【紅は園に植えてかくれなし】(くれないはそのにうえてかくれなし)「紅ハ園生ニカクレナシ」人に優れたるものは、必ず世に顕る。──【諺語大辞典】 「毛吹草」に「くれなゐはそのふにかくれなし」とある。(講談・本所五人男「越中守殿御落涙をなし玉ひて『紅ゐは園に植てかくれなしとは是れを云ふなり實(げ)に氣の毒な事』」)

【黒板塀に見越しの松】くろいたべいにみこしのまつ)(落語・悋気の火の玉「いわゆる黒板塀に見越しの松というかまえで、お妾さんは狆を抱いて暮らしている」)

【食わずとも楊枝つかうや花の下】くわずともようじつかうやはなのもと)(落語・茶わん屋敷「しかし、『食わずとも楊枝使うや花の下』という句のとおり、どのようにお困りなすっても、嬢さまもお父ッつァんも、さのみ憂いもいたしません」)

【食わず貧楽】くわずひんらく)名利を求めないで、貧しい生活の中に楽しみを見出すこと。貧しい暮らしでも気楽なこと。清貧に甘んじる境地をいう。「~高枕」と続けてもいう。──【故事俗信ことわざ大辞典】(落語・三百餅「乞食だつて何も然う恥ぢる事はありません。食はず貧楽といふことがあるから、何をしても一生でございます」=狂歌家主)落語:万金丹

【くわばらくわばら】くわばらくわばら)「桑原」落雷除けの呪文。転じて、父母の叱責(雷にたとえる)を避けるために唱える語。「桑原桑原万歳楽」とも。──【江戸語の辞典】(落語・湯屋番「女中は怖いから桑原々々万歳楽、自分の部屋へ閉じ籠って了う」)落語:紙入れ

【群鶏の一鶴ぐんけいのいっかく)「鶏群の一鶴」衆中に独りすぐれし喩。──【諺語大辞典】(講談・八百蔵吉「貧乏長屋の一軒が工面が好くなり群鶏の一鶴」)

【君子重からざれば威なし、威なき時は人侮る道理】くんしおもからざればいなし、いなきときはひとあなどるどうり)【意味】「君子重からざれば威あらず」君子は重々しくないと威厳がなく人に侮られる。軽々しい行動は避けるべきだ。──【故事俗信ことわざ大辞典】 「論語」学而編より。(講談・難波戦記「何さま、道理(もつとも)なり、君子重からざれば威なし威なき時は人侮る道理なり」)講談:越後伝吉

【君子は欺くに道を以てす】くんしはあざむくにみちをもってす)(講談・加賀騒動「なれど君子もその道を以てすればこれを陥れることが出來ます」)講談:梁川庄八

【君子は危うきに近寄らず】くんしはあやうきにちかよらず)君子は言動をつつしみ、好んで危険に近づくようなことはしない。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・三家三勇士「君子危きに近よらず、巻き添えを食っては大変、済んだら行こうと役人、とんだ君子面をして下火になるのを待っている」)落語:盃の殿様、雪の瀬川、仙台高尾、牡丹燈籠 講談:朝顔日記、小林平八郎、天明白浪〜鼬三次、大岡政談お花友次郎

【君子は(あえて)小径(径)を行かず(行くに小径によらず)】(くんしはこみちをいかず)「君子は径路を行かず」君子は近道を通らない。君子が常に正々堂々と行動することをいう。「論語」の「行不由径」によるか。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・三村次郎左衛門「イヤ君子は敢て徑を行かず、昨日御主人に御馳走になつたに依つて、諸白一升持參をいたした」)講談:梁川庄八

【君子は三思一言】くんしはさんしいちごん)「三思一言」何事もよく考えた後に口に出す。ことばはつつしむべきだという戒め。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・片岡源五右衛門「ウン、ウン。田中、君子は三思一言と申して、みだりに口があるからと言うて喋べるものではない」)講談:加賀騒動

【君子は其位に素して其の外を願わず】くんしはそのくらいにそしてそのほかをねがわず)(実録・妲妃のお百「君子は其位に素して其外を願はずとは、千古不朽の名言なれば」)

【葷酒山門に入るを許さず】くんしゅさんもんにいるをゆるさず)臭気の強い野菜と酒を口にしたものは寺内にはいることを許さない。多く禅宗の寺の門前「不許葷酒入山門」と記して立てる結戒の一つ。──【故事俗信ことわざ大辞典】 「戒壇石」という石柱に刻んである。 「不浄のもの、邪念を催させて修行の妨げになるものは、寺の門の中に入ってはならぬ」ということ。(落語・お見立「はゝア葷酒山門に入るを許さずとしてあら、察するところ禅家だな」)落語:蒟蒻問答

【君臣に義あり、父子には仁あり】くんしんにぎあり、ふしにはじんあり)(講談・赤穂義士本伝「君臣に義あり、父子には仁ありと申す。亡君の遺志をついで吉良殿を討ちとったるはこれ義なり忠なり」)

【君父の仇には倶に天を戴かず】くんぷのあだにはともにてんをいただかず)「礼記」より。(君父の仇とは同じ天の下に生きていくことはできないという意で)主君や父の仇は断じて許さず、生命を捨てても報復しないではおかないことをいう。「不倶戴天」とも。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・岡野金右衛門君父の仇には倶に天を戴かず、もとより命は捨てまする覚悟でござる」)講談:赤垣源蔵、寛永三馬術、伊賀の水月菅谷半之丞赤穂義士本伝、田宮坊太郎、百猫伝

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