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増補・話芸きまり文句辞典

落語・講談によく出ることば(改装中)

 
【杯一】ぱいいち)「(酒を)一杯」の倒語。(落語・庖丁「どうだい、ぱい一てえことにねげえてえじゃねえか」)
 
【梅桜桃李一時に咲き乱れたような】ばいおうとうりいちじにさきみだれたような)(講談・伊達誠忠録「何れ劣らぬ花菖蒲、美しいの何のと言つて、梅櫻桃李一時に咲き亂れたやうな眺め」)

【吐いた唾は飲み込まない】はいたつばはのみこまない)「吐いた唾は呑めぬ」一度発言したことは、あとからとり返しがつかないことのたとえ。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・幡随院長兵衛「兄哥達、こんな事をして呉れては困る、だが吐いた唾は飲み込まねえと云ふ兄哥達、貰はねえといふのも不本意だから」)

【杯盤狼藉】はいばんろうぜき)酒宴がすんで、杯や皿鉢などが席上に散乱しているさまをいう。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・寛永三馬術杯盤狼藉の後片づけをさせた筑紫市兵衛」)

【蝿は金冠をも恐れず】はえはきんかんをもおそれず) 怖いもの知らず、常識のない人をたとえていうか。(講談・木村長門守の堪忍袋)

【這えば立て、立てば歩め】はえばたて、たてばあゆめ)子供の成長を楽しみに待ちかねる親心をいう。──【故事俗信ことわざ大辞典】(落語・牛ほめ「ここにふびんが増しますものでげして。そりゃァ親子の情で。這えば立て、立てば歩めの親心」)

【馬鹿と鋏は使いよう】ばかとはさみはつかいよう)はさみは使い方によって切れたり切れなかったりするし、馬鹿な者も、使い方さえよければ役に立つ。──【故事俗信ことわざ大辞典】(落語・にゆう「イヤ馬鹿と鋏は使いようだと云うが、お前は嫌いだけれども俺は好きだ……」)

【馬鹿につける薬はない】ばかにつけるくすりはない)痴人を医する方なし。──【諺語大辞典】 浪花節でいう「馬鹿は死ななきゃ直らない」(次郎長伝)。(落語・近日息子「馬鹿に附ける薬はねえといつたら、それじやァ服薬を呉れといつたという話があるが」)

【馬鹿には四十八馬鹿あり】ばかにはしじゅうはちばかあり)(落語・金明竹「ェェ馬鹿にも四十八馬鹿あるそうです。その頭取が噺家でございます」)

【馬鹿の一つ覚え】ばかのひとつおぼえ)愚かな人は、聞き覚えた一つのことを、どんな時にも得意げに持ち出す。何度も同じことを言う人をあざけっていう。──【故事俗信ことわざ大辞典】(落語・唖の釣「お、もうきやがった、早いね、馬鹿のひとつ覚えッてやつだ」)

【馬鹿は隣の火事より怖い】ばかはとなりのかじよりこわい)「馬鹿は火事より怖し」馬鹿の無分別なふるまいの恐ろしさをいう。馬鹿に怖じよ火に怖じよ。──【故事俗信ことわざ大辞典】(落語・髪結新三「『馬鹿は隣の火事よりこわい』と申しますが、お察しいたします」)

【馬鹿はものに動じない】ばかはものにどうじない)「馬鹿は平気」馬鹿は恐れることも心配することも知らない。馬鹿に苦労なし。──【故事俗信ことわざ大辞典】(落語・ろくろっ首「ェェ馬鹿はものに動じないなんてえことを申しますが、動じないんではなくて、わからないんですな」)

【(参照→世の中に)馬鹿ほど怖いものはない】ばかほどこわいものはない)何をするかわからない無分別な者は恐ろしいということ。馬鹿と気違いほど怖いものは無い。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・由井正雪「スツカリ此の奸策に乗せられてしまひました。世の中に馬鹿ほど怖いものはない」)

【謀密なるを宜とす】はかりごとはみつなるをよしとす) 「事ハ密ヲ以テ成ル」[韓非子]──【諺語大辞典】、計略は秘密にしなければ効果があがらず、また成功しない。──【故事俗信ことわざ大辞典】 「謀略は~」、「謀は迅速にして~」「~密なるを以て~」「~尚ぶ」とも。「敵を計らんと欲する時は味方を計る」と続く場合もある。(落語・あたま山計略は密なるを以て宜しと云ひませう」)

【馬鹿を承知でなるやくざ】ばかをしょうちでなるやくざ)(講談・笹川繁蔵「馬鹿を承知でなるやくざ、という通りに、大体遊侠の徒に入って来る者には、血の気が多すぎるというのでしょうか」)

【はきだめに鶴】はきだめにつる)「〜ガ下リタヨウ」よからぬ所によきもののある喩。──【諺語大辞典】(落語・お直し「勿体ねえなァ、こんなとこにおいとくのァ……掃溜めに鶴だァ」)

【破鏡再び照らさず、落花枝にもどらず】はきょうふたたびてらさず、らっかえだにもどらず)「破鏡再ビ照サズ」 夫婦一旦離縁すれば、再び復すべからずるをいう。──【諺語大辞典】、散り落ちた花は二度と枝にもどることがなく、割れた鏡はもとのように照らすことがな い。一度失われたり破れたりしたものは再び元に復することはない──【故事俗信ことわざ大辞典】 「毛吹草」にもある。(講談・太閤記「もとの夫婦になっ てくれというと、覆水は盆に返らず、と悉く意見をしたということが、古い本に書いてある。破鏡再び照さず、落花枝にもどらず……」)

【莫逆の友】ばくぎゃくのとも)なかよしの友。意気投合して、心に逆うことなき意。──【諺語大辞典】 「ばくげきのとも」とも。(講談・安政三組盃「これは私のためには莫逆の友で」)

【博打打ち博打を打たず】ばくちうちばくちをぶたず)(落語・梅若礼三郎「博打打ち博打を打たずといって、博打を打たないのがほんとうの博打打ちで」)

【箱根八里は馬でも越すが越すに越されぬ大井川】はこねはちりはうまでもこすがこすにこされぬおおいがわ)江戸時代に馬士雲助の唄いし道中歌。──【諺語大辞典】(講談・名医と名優「箱根八里は馬でも越すが越すに越されぬ大井川、その二つの難所も無事に越しまして」)

箱根山駕籠に乗る人担ぐ人、そのまた草鞋を作る人】はこねやまかごにのるひとかつぐひと、そのまたわらじをつくるひと) (世の中には駕籠に乗る身分の人もいれば、その駕籠を担いで生活している者もおり、またさらに、その人たちの履いている草鞋を編んで暮らしている人もいる といいうことから)世の中には、さあまざまな身分、境遇の人がいることをいう。「雪の日に〜」とも。──【故事俗信ことわざ大辞典】(落語・夢金「“箱根山駕籠に乗る人担ぐ人、そのまた草鞋を作る人”てえからなァ……そのまた草鞋を拾って歩いてるやつもあるんだ」)

【葉桜になるまで知らぬ婿選み】はざくらになるまでしらぬむこえらみ)(講談・朝顔日記「サア、葉櫻になるまで愚痴な婿選み、と申す譯でもござらぬが」)

【恥ある武士は必ず死す】はじあるぶしはかならずしす)(講談・安政三組盃「というのは、恥ある武士は必ず死すというたとえがある」)

【馬耳東風】ばじとうふう李白の詩より。馬の耳に東風が吹いても馬は何も感じないように、人の意見や批評などに心もとめず、聞き流してしまうこと。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・木村長門守「馬耳東風と言ふに因つて、主馬の耳には人間の聲が入らなんだであらう」)

【橋無い川は渡れん】はしないかわはわたれん)「橋ガナケレバ渡ラレヌ」目的を達するには手段を要す。──【諺語大辞典】(落語・米揚げ笊「別に不思議なことはないけれども、橋無い川は渡れん、てなことを言おうがな」)

【箸にも棒にもかからん】はしにもぼうにもかからん)如何とも扱いようなきもの、縄ニモ葛ニモカカラヌともいう。──【諺語大辞典】(落語・妾馬「箸にも棒にもかからぬ馬鹿でございますので、なにか粗相がございましたら、てまえからいくえにもおわびを申し……」)

【箸のあげおろし】はしのあげおろし)食事の間もかまわず、常に口やかましくいうこと。──【諺語大辞典】「箸のあげおろしに俺のことォ『ど盲ァ、ど盲』ッて言やァがるン」(落語・心眼)

【橋の上玉屋玉屋の人の声なぜか鍵屋といわぬ情なし】はしのうえたまやたまやのひとのこえなぜかかぎやといわぬじょうなし) (落語・たがや「ま、たいがいこの玉屋の方が名がうれております。 橋の上玉屋玉屋の人の声なぜか鍵屋と言わぬ情なし」)

【始まりあれば終わりあり】はじまりあればおわりあり)「始め有るものは必ず終わり有り」物事には必ず始めと終わりがある。生まれたものは必ず死ぬ。栄えるものもいつかは必ず滅びる。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・天保六花撰「さても徳川の天下ももう末だ、今が天下泰平の頂上、これから先は乱れるばかり、始まりあれば終わりあり」)

【箸も茶碗もない】はしもちゃわんもない)「箸も持たぬ乞食」何一つ持たない乞食。全くの無一文であることのたとえ。すっからかん。──【故事俗信ことわざ大辞典】(落語・ちきり伊勢屋「おれはもう箸も茶碗も無えンだからねェ」)

【箸も出ない】はしもでない) 前項参照。火事で焼け出されて無一物になること。家財どころか箸すら持ち出せなかったということ。(落語・鼠穴「箸も出ませんで、まる焼けになりまして……」)

【波旬】はじゅん)悪魔の名。──【広辞苑四版】(講談・寛永三馬術「天魔波旬の荒れ出したると思ふばかり」)
 
走人】(はしりびと)逃亡した人。出奔した人。駈落した人。易者用語。──【江戸語の辞典】(落語・がまの油「縁談・金談・失せ物・はしりびと」)
 
【蓮の台で仲良う暮らす】はすのうてなでなかようくらす)「蓮の台」極楽浄土に往生した者のすわるという蓮華の座。──【広辞苑四版】(落語・城木屋「どうか互いに手をとり、蓮の台で未来でともに添うて下さりませ」)

【はだか虫の洗濯】はだかむしのせんたく)雪の後のよい天気にいう。暖かなので、着がえのない者が選択しても困らない、の意。雪の明日は裸虫の洗濯。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・勝田新左衛門「俗に裸體蟲の洗濯などといつて雪の翌日は大抵好い天気でございます」)

【八十九十になって親というのはできない】はちじゅうきゅうじゅうになっておやというのはできない)(講談・幡随院長兵衛「これから先いよいよ孝行をしなせへよ、八十九十になつて親といふものは又出來ねへものだ」)

【蜂の頭もあるものか】はちのあたまもあるものか)何の役にもたたないもの、つまらないものをたとえていう。へちまのかわ。──【故事俗信ことわざ大辞典】(落語・粗忽長屋「当人がいって当人のものをもらってくるのに、きまりがわるいもハチのあたまもあるもんか」)

【はちべえ】はちべえ)【意味】「八兵衛」宿場女郎。飯盛。房総方言。──【江戸語の辞典】 「しべえ、しべえ」と客を誘うから、合わせて「はちべえ」であるという。(落語・皿屋「帰らねえのも無理がねえさ、女郎(はちべえ)に色が出来やして」)

【八万四千の身の毛も慄立つ】はちまんしせんのみのけもよだつ)「八万四千」数の多いことを表す語。──【広辞苑四版】(講談・薮原検校「之は乃公の番だワイと八万四千の身の毛も慄立つやうな思ひなれど」)

【八幡正気】はちまんしょうき)「八幡」(八幡宮に祈誓する意。本来は武士の誓言)断じて。決して。全く。弓矢八幡。──【広辞苑四版】(講談・男くらべ)

八幡太郎に番太郎、義経に向こう脛、能登守に鼻ッ紙】はちまんたろうにばんたろう、よしつねにむこうずね、のとのかみにはなっかみ)(講談・富蔵藤十郎「物に譬へて見りやア、八幡太郎に番太郎、義經に向う脛、能登守に鼻ツ紙と違つて居る位ゐのもので」)

【初鰹飛ぶや江戸橋日本橋はつがつおとぶやえどばしにほんばし)(落語・芝浜「『初鰹とぶや江戸橋日本橋』なんてえ威勢のいい句もあります」)

【八寸を四寸ずつ食う仲のよさ】はっすんをしすんずつくうなかのよさ)(落語・たらちね「お膳を真ん中へはさんでよ、ねえ、“八寸を四寸ずつの仲のよさ”」)

【八丁居廻り】はっちょういまわり)「居廻り」居住する所の周囲。あたり近所。付近。──【江戸語の辞典】(落語・蛙茶番「あゝそうだよ、八丁居廻り探したってねえや」)

【張って悪いは親父(坊主)の頭、張らなきゃ食えない提灯屋】(はってわるいはおやじのあたま、はらなきゃくえないちょうちんや) 賭場でのきまり文句。(講談・ボロ忠売り出し「さぁはったはった、はって悪いはおやじの頭、はらなきゃ食えない提灯屋」)

【初物七十五日】はつものしちじゅうごにち)初物を食べると寿命が七十五日延びるという俗説。──【故事俗信ことわざ大辞典】(落語・中村仲蔵初物だから七十五日…おいらァ生き延びるよ。ああよかったよ」)

【はて恐ろしい執念じゃなぁ】はておそろしいしゅうねんじゃなぁ) 怪談噺のきまり文句。(落語・怪談市川堤「もう筋がどない変わろうと『はて恐ろしい執念じゃなあ』言うたら、そいでしまいですわ」)

【鳩に三枝の礼あり、鴉に反哺の孝あり】はとにさんしのれいあり、からすにはんぽのこうあり)鳩は親鳥のとまっている枝より三枝下に止まり、烏はひなの時に養われた恩に報いるため、親鳥の口にえさをふくませてかえす。礼儀と孝行の重んずべきことを説いたたとえ。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・岡野金右衛門「コリヤ能う聞け、鳩に三枝の禮あり、鴉に反哺の孝あり、況んや人倫なるもの、譜代相恩の主君の仇、忘却致して相濟まうか」)

【鼻唄三丁矢筈斬り】はなうたさんちょうやはずぎり)(落語・粟田口「鼻唄三丁矢筈斬りといってねえ、斬られた奴が三町歩いたってえますね、え?」)

【鼻毛を伸ばす】はなげをのばす)「〜を延ばす」1.愚かな人の形容。2.女に魂をうばわれるさま。女にのろい形容。──【江戸語の辞典】(講談・安政三組盃「家の宿六が鼻毛を伸ばしたのは、どんな相手であろうと」)

【鼻毛を抜き取る】はなげをぬきとる)「〜を抜く」だしぬく。だます。たぶらかす。(講談・越後伝吉「お早の方では何でもこの忠兵衛を引捕えて鼻毛を抜き取り、江戸表へ乗りこんで十分金をせしめようという謀計がございますから」)

【落語家殺すにゃ刃物はいらぬ、あくび三つですぐに死ぬ】はなしかころすにゃはものはいらぬ、あくびみっつですぐにしぬ)(落語・お七「『落語家殺すにゃ刃物はいらぬ、あくび三つですぐに死ぬ』という古い都々逸もありますが」)

噺家は浮世(世上)のあらで飯を食い】はなしかはうきよ〔せじょう〕のあらでめしをくい)落語家は世間の人々の欠点や失敗を噺のたねにおもしろおかしく噺をして、生計をたてている。──【故事俗信ことわざ大辞典】(落語・大工調べ「『落語家は世上のアラで飯を食ひ』と昔時(むかし)から喋々されて居りますが」)

【話が理に詰む】はなしがりにつむ)「理に詰む」1.話がこみ入る。理屈っぽい話になる。2.気分や雰囲気が沈んでくる。陰気になる。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・水戸黄門「きょうは親方、話が理につむなァ」)

【話し上手の聞き下手】はなしじょうずのききべた)「話上手に聞き下手」とも。自分ばかり話し立てて、他人の話は聞こうともしない人。また、話の上手な人は、相手の話を聞くという点では下手なことが多いということ。──【故事俗信ことわざ大辞典】「話し上手の聞き上手」という諺もある。(講談・幡随院長兵衛「そんな事を云つて居るから面白くない、話上手の聞き下手だ」)

【話の末は下に落ちる】はなしのすえはしもにおちる)【意味】「話が下へ回ると仕舞になる」談話の下がゝりになる時は、やがて話の終る時なりとの意。「話ハ下デ果テル」ともいう。──【諺語大辞典】(講談・加賀騒動「話の末は下に落ちるとか云ふが中に一人の若者」)

【鼻血が出たとき首筋の毛を三本抜くと鼻血がすぐに止まる】はなぢがでたときくびすじのけをさんぼんぬくとはなぢがすぐにとまる)「鼻血が出たら髪の毛三本抜くと止まる」俗説。──【故事俗信ことわざ大辞典】 「盆凹の毛を一本抜く」とも。(落語・蛸芝居「まァみなさんでもご承知の、鼻血が出たとき、この、首筋の毛ェを三本抜いたら、鼻血がすぐに止まるとか」)

【花に嵐、月に叢雲】はなにあらし、つきにむらくも)「花に嵐(風)」とかく物事にはじゃまが起こりやすいことのたとえ。──【故事俗信ことわざ大辞典】編者注:「月に叢雲」も同義。(講談・寛永三馬術「イヤ恭けない。花に嵐、月に叢雲とはこれをいふのだ」) 

【花の雲鐘は上野か浅草か】はなのくもかねはうえのかあさくさか) 松尾芭蕉が深川芭蕉庵にあって上野・浅草の花の眺望を詠んだ句。(落語・廓の夜桜「『花の雲鐘は上野か浅草か』で雲か雪かと真盛りになる」=親子茶屋)

【花に十日の盛りなく、人に百歳の齢あるは稀なり、生まれて死するは世の習い】はなにとおかのさかりなく、ひとにももとせのよわいあるはまれなり、うまれてしするはよのならい)「花七日」桜の花ざかりは七日間にすぎないということ。盛りの短いことのたとえ。──【故事俗信ことわざ大辞典】 「花に百日の盛りなく~」とも。(講談・天一坊「花に十日の盛りなく、人に百歳(ももとせ)の齢あるは稀なり、生れて死するは世の習ひ」)

【鼻の下に休日はねえ】はなのしたにやすみびはねえ)「鼻の下が干上がる 」「鼻の下」は口のこと。生計の道を失って食うのに困る。生活に困る。口が干上がる。顎が干上がる。(講談・清水次郎長「稼ごうと思った日に稼がなけりゃ鼻の下が干上がる」)(講談・安中草三郎「ナニ何處に居つたつて鼻の下に休日は無へからな」)

【花は紅、柳は緑】はなはくれない、やなぎはみどり)「柳は緑、花は紅」天地自然の面目をいう。──【諺語大辞 典】、柳は緑色をしており、花は紅に咲くように、草木の自然のすがたがそのまま諸法の実相(=すべての存在のありのままの真実のすがた)をあらわすことを いう。自然のすがた。自然のことわり。──【故事俗信ことわざ大辞典】(落語・一ト目上り「柳は緑花は紅のいろいろ歌、庭の池の面に、月は夜な夜な通えども、蔭もとどめず、水も濁さず、と書いてあるな」) 

【花は桜木、人は武士】はなはさくらぎ、ひとはぶし)花の中では桜がもっともすぐれており、人は武士がもっともすぐれている。──【故事俗信ことわざ大辞典】編者注:「〜なぜ傾城にいやがられ」という「サゲ」がつくこともある。(落語・茶わん屋敷「アアさすが感心いたしました。花は桜木人は武士、えらいもんで」)

【花より団子】はなよりだんご)虚栄より実利を取れとの意。──【諺語大辞典】(落語・花見酒「けれども亦花より団子なんかと申して、随分下戸の花見と来ると御色気のないもので」)《い》

【鼻をつままれても分からないという真の闇】はなをつままれてもわからないというしんのやみ)「鼻ヲ摘マレテ知レヌ」闇夜の形容。──【諺語大辞典】(講談・豊志賀の怨念:「鼻をつままれても分からないという真の闇」)

【はねあがり者】はねあがりもの)状況に構わず勝手な行動をすること。また、その人。──【広辞苑四版】(落語・錦の袈裟「そうすりゃァ、お前ンとこの嬶(かみ)さん、はね上がり者だから、なんとか考えるだろう……なんてね」)

【はねつけられればはねつけられるほど募るのは恋の意地】はねつけられればはねつけられるほどつのるのはこいのいじ)(講談・由井正雪刎付けられれば刎付けられるほど募るのは戀の意地」)

【母親は勿体ないがだましよい】ははおやはもったいないがだましよい)(講談・春風臆病問答「下世話にも申す通り、“母親は勿体ないがだましよい”などと言われる。世の中でだまされて喜んでいるのは母親ぐらいのものだ」)

【母賢ならざれば其の子愚なり】ははけんならざればそのこぐなり)(講談・堀部安兵衛母賢ならざれば其の子愚なりと申して、母が馬鹿では子に善いものは出來ませぬ」)

【蛤は虫の毒】はまぐりはむしのどく)子どもが数をかぞえるとき、「はまぐりはむしのどく」の一音ごとに一、二、 三、四、五、六、七、八、九、十までの数を当てていうことば。「ちゅうちゅうたこかいな」と並んでいう。また、子どもがはまぐりを食べると虫を起こすとも いわれている。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・安政三組盃「チュウチュウタコカイナと、蛤は虫の毒……四十三両と二分ございます」)

【早起きは三文の得】はやおきはさんもんのとく)「朝起きは三文の得」に同じ。(落語・芝浜「早や起きは三文の徳があるといふが」)

【流行語は世につれる】はやりことばはよにつれる)(落語・高野違い「コノ昔の言葉にうかがいまするのに、流行語(はやりことば)は世につれるなどということをよく申しますが」)

【破落掻】ばらがき)「散掻」所きらわず引っ掻くこと。がむしゃらに引っ掻く。──【江戸語の辞典】(講談・伊賀の水月「大そう顔を破落掻にいたして参ったから」)

【腹がへっては戦はできぬ】はらがへってはいくさはできぬ)空腹では、何をやっても、いい仕事はできない。事の前に腹ごしらえをする時にいう。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・岩見重太郎「腹がへっては戦さは出来ぬ、この上のお願いは、握り飯と酒を一升ばかり用意をして貰いたい」)

【腹が減り酒に酔うと人相が狂う】はらがへりさけにようとにんそうがかわる)(講談・太閤記腹がへったり、酒に酔うた時には、人相が狂うてえことを聞いた」)

【腹の減った時のまずい物なし】はらのへったときのまずいものなし) 「空腹にまずいものなし」。「ひだるい時に~」「ひもじい時に~」とも。(落語・唐茄子屋「さあさあ、飯を食え、飯を。腹のへった時のまずいものなしだ」)

【腹は借物】はらはかりもの)「腹ハ仮ノ宿」ともいう。母系の貴賎は論ずるに足らずとの意。──【諺語大辞典】(落語・妾馬「ご本妻にお子さまができませんときは、腹は借りもんだなんという、勝手なことをいいまして」)

【腹も少し北山】はらもすこしきたやま)「少し腹が北山時雨」参照のこと。(講談・鼠小僧次郎吉「そういやあ丁度腹も少し北山だし」)

【腹も身のうち】はらもみのうち)【意味】大食する人を戒めて、腹も身の内なれば、大切にせよという。──【諺語大辞典】(落語・化物使い「おい、馬鹿なことをしちゃいけない。“腹も身のうち”だ」)

【梁強くして家を倒す、忠義も過ぐれば主を害するに等し】はりつよくしていえをたおす、ちゅうぎもすぐればしゅうをがいするにひとし)(講談・大石内蔵助梁強くして家を倒す。忠義も過ぐれば主を害するに等し、能く能く御勘考下さるやう」)

【針の筵に座るも一興、剣を抱いて寝るも一入】はりのむしろにすわるもいっきょう、けんをいだいてねるもひとしお)「針の筵」針を植えた敷き物。人に苦しめ責められたりして、一時も安心できない、恐ろしい場所のたとえ。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・三家三勇士「しかし大胆なるところの國次惣左衛門、針の筵に座るも一興、剣を抱いて寝るも一入、此奴いかなる者であろうかと、好奇心に駆られたのが、庄次郎にはもつけの仕合せ」)

【春浮気夏は元気で秋ふさぎ冬は陰気で暮れはまごつき】はるうわきなつはげんきであきふさぎふゆはいんきでくれはまごつき) 「春陽気……」とも。四季おりおりの「き」を脚韻を踏んで狂歌にまとめたもの。「春椿夏は榎で秋楸(ひさぎ)、冬は梓で暮れは柊」を式亭三馬がもじった。(落語・掛取万歳「四季で陰気、陽気がございます。“春浮気、夏は元気で秋ふさぎ、冬は陰気で暮はまごつき”という……」)

【春永に】はるながに)春の日の永い時にの意。もっとゆっくりした時に。──【江戸語の辞典】(落語・御慶「だから、そう言われたら、春永にうかがいますってんで、『永日』と言って帰ってくればいい」)

【春の花、夏の涼みに秋の月、巡り来たったこの冬の雪】はるのはな、なつのすずみにあきのつき、めぐりきたったこのふゆのゆき)(講談・寺坂吉右衛門

【春娘、夏は芸者で秋娼妓、冬は女房で暮れは権妻】はるむすめ、なつはげいしゃであきしょうぎふゆはにょうぼでくれはごんさい) 「春椿……」の歌をさらに四季おりおりのお楽しみ相手に替えて歌ったもの。(落語・隅田の馴染め「狂歌春娘夏は芸者で秋娼妓冬は女房で暮は権妻』と云ひますが、春はお娘子がチヨイとお眼に附きます」)

【反間苦肉の計略】はんかんくにくのけいりゃく)「反間の謀」(「反間」は敵国にはいりこんで敵情を知らせたり、その混乱を計ったりすること。また、その人やその任務)反間の者を使って、敵の情報を探ったり、内部を混乱させる計略。「苦肉の策(謀)」敵をあざむく手段として、自分の身を苦痛におとしいれたりまでしてたてたはかりごと。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・吉良屋敷替え「某は山科に居をかまえ、遊里に耽溺と見せかけ、妻子を離別に及びしはこれぞ反間苦肉の計略」)

【ばんごと】ばんごと)そのたびごとに。毎回。いちいち。いつも。しょっちゅう。──【江戸語の辞典】(落語・真景累ヶ淵ばんごと意見をしておくんなさるし」)

【万山重からず君恩は重し、一髪軽からず我命は軽し】ばんざんおもからずくんおんはおもし、いっぱつかろからずわがめいはかろし)(講談・大石内蔵助「此の脇差に附いて居る小柄はコリヤ内蔵助が自身に入れた銀象眼萬山不重君恩重一髪不輕我命輕、是ぞ即ち内蔵助が心の中を知らせる爲の贈物」)

【判証文した金より尚喧ましいのは賭奕の授受】はんしょうもんしたかねよりなおやかましいのはばくちのきまり)(講談・小金井小次郎「そりやア親分可けませんや、判証文した金より尚喧ましいのは賭奕の授受でございます」)

【萬卒は得易く、一将は得難し】ばんそつはえやすく、いっしょうはえがたし)多くの兵を集めることはたやすいが、一人のすぐれた将軍を求めることは難しい。──【故事俗信ことわざ大辞典】 「萬卒は恐るるに足らず一人の智将は恐るべし」などともいう。(講談・西郷南洲萬卒は得安く、一将は得難し。高い聲では云はれぬが、近き将來に起るべき天下の大業には、是非御身を頭目に押さねばならぬことになつて居るのぢや」)

【半ちく】はんちく)中途はんぱ。──【広辞苑四版】(落語・子ほめ「実は何でございます、仕事が半チクになりましたので、家に居ても詰らねえからお宅に伺つた様な訳で」)

【半てれつ】はんてれつ)女性を卑しめて「めてれつ」(右手れつ=「右」は「陰」の意)という(滑稽本『妙竹林話七偏人』四編)が、そのたぐいか。(落語・庖丁「半テレツだけぐっとこう飲って……」)

半と張りゃ丁と出る、丁と張りゃ半と出る】(はんとはりゃちょうとでる、ちょうとでりゃはんとでる) 「裏目裏目に出る」こと。(講談・寛永御前試合「いめいめしい、半と張りゃあ丁と出る、丁と張りゃあ半と出やぁがる」、落語・文七元結丁と張りゃ半と出やがるし、半と張りゃ丁と出やがるし、もうしまいに忌々しくなったから」)

【万物の霊長たる人間が思いこんだら、その念が残らない限りはない】ばんぶつのれいちょうたるにんげんがおもいこんだら、そのねんがのこらないかぎりはない)(落語・三年目「万物の霊長たる人間が、思い込んだら、其の一念が残らない限りはなかろうと思います」)

【万々出世】ばんばんしゅっせ)「番番出世」1.順序を追って諸仏がこの世に現れること。2.年功の順に世に顕れること。──【広辞苑四版】(落語・一人酒盛:「人間は万々出世という事がある。今に芸をみがいてりゃ、朝から刺身だってなんだって食えらァな」)

【萬夫不当(の勇)】ばんぷふとう〔のゆう〕)「万夫不当」万夫(多くの男・多くの武士)が当っても、かなわないほど剛勇なこと。(講談・梁川庄八「如何に庄八萬夫不當の勇を誇るとも、三人であれば、必ず彼に打勝つ事は出來よう、どうぢやな」、山中鹿之助、猿飛佐助)

【半間】はんま)間が抜けていること。また、そういう人。──【広辞苑】「愚鈍」とあて字する(落語・百川)。(落語・品川心中「馬鹿で大食ひで、慾張つて居て、其れで働らきがなくつて、外装坊(みえぼう)で、助兵衛で、半間の奴だから」)

【萬緑叢中一点の紅】ばんりょくそうちゅういってんのくれない)一面に茂った草木の緑の中に、ただ一点紅色の花があって美しく目立つこと。大勢の男の中にただ一人女性が混じっていることのたとえ。──【故事俗信ことわざ大辞典】編者注:紅一点。(講談・梁川庄八「實に萬緑叢中一點の紅、珍らしく花やかな仇討で御座います」)

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