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増補・話芸きまり文句辞典

落語・講談によく出ることば(改装中)

【前尻を売る】まえしりをうる)「前尻」(同義語を重ねていう。一説に前にある尻の意というはいかが)女陰の間接表現。──【江戸語の辞典】 つまり春をひさぐ、の意。(講談・祐天吉松「娘に前尻を賣らせやがつて」)

【間男は七両二分】まおとこはしちりょうにぶ)「七両二分」間男の首代。小判金七両二分は、大判金一両に当たる。「首代」は首を切られる代りに払う金。姦夫の謝罪料。示談金。──【江戸語の辞典】 元来五両(銀三百匁)、実際は示談によって決められるのが慣行であったという。(講談・祐天吉松「普通の間男は七兩二分だが、坊主だけに千兩出せと呶鳴り散らす」)

【間がいい】まがいい)都合がいい。折がよい。運がいい。──【故事俗信ことわざ大辞典】(落語・御神酒徳利「あたくしの子供時代、『なんて間がいいんでしょう』という言葉がたいへん流行ったことがありましてね」)

【間がな隙(透)がな】まがなすきがな)ひまさえあればいつも。ひっきりなしに。──【故事俗信ことわざ大辞典】(落語・柳の馬場「それで、間がな透がな、道場へ行って、スットンスットン投り出されたり」)

【蒔かぬ種は生えぬ】まかぬたねははえぬ)原因なくして結果なし。──【諺語大辞典】 「毛吹草」にもある。(講談・紀伊国屋文左衛門「蒔かぬ種は生えぬから默つて使はせて置け」)《い》

【巻紙もやせる苦界の紋日前】まきがみもやせるくがいのもんぴまえ)(落語・品川心中「この、そういうふうな、金のいるときには、しょうがないから、ほうぼうの客に手紙を出して、お客さまに来てもらう。 巻き紙もやせる苦界の紋日前……」)

【枕の塵を払う】まくらのちりをはらう)ねやの伽をすること。──【諺語大辞典】(講談・越後伝吉「その夜終に忠兵衛という客の枕の塵を払わせました」)

【枕を高く寝る】まくらをたかくねる)「枕ヲ高クシテ眠ル」安心の体。──【諺語大辞典】(講談・小金井小次郎「寝たつて枕を高く寝られねえやうな譯だ」)

【髷のないのは世捨人、首のないに劣る】まげのないのはよすてびと、くびのないにおとる)(落語・大山詣り「昔時は髷のない人は世捨人、首のないのに劣ると云つた位ゐ」)

【馬子にも衣裳髪容(かたち)】(まごにもいしょうかみかたち)「人形ニモ〜」「切株ニモ〜」などいう。衣服の人品をあぐることの喩。──【諺語大辞典】(落語・妾馬「おばあさん見てやんな、えゝ? 馬子にも衣裳という、たいそうりっぱだ、えゝ? 結構」)

【孫は子よりも可愛い】まごはこよりもかわいい)孫は子以上にかわいい。祖父母が孫をかわいがることのはなはだしいのをいう。(講談・相馬大作「世俗にも『孫は子より可愛い』という」)

【正宗】まさむね)(落語・巌流島「やけに引ッぱりやがる……正宗だよ、これァ……ぴりッとくるじゃァねえか」)

【復仇は天下の法度】またがたきはてんかのはっと)(講談・梁川庄八「けれども復仇は天下の法度、決して許されては居りません」)

【待たぬ日は来る】またぬひはくる)「待タヌ月日ハ経チ易イ」歳月の移り易きをいう。──【諺語大辞典】 「待たぬ日は早いもの」(講談・安政三組盃)とも。(落語・乳房榎「待たぬ日は来ますもので、日柄もたちまして早くも三十五日もすみ」)

【待たるる身になるとも、待つ身になるな】またるるみになるとも、まつみになるな)「待タルルトモ待ツ身ニナルナ」人を待つは心いらるゝものなり。──【諺語大辞典】(落語・双蝶々「はて、待たるるとも待つ身になるなとは、よう申したもの」)

【町々の時計になれや小商人】まちまちのとけいになれやこあきんど)【意味】「先々の時計になれや小商人」に同義。(落語・甲府ぃ「町まちの時計になれや小商人……あの豆屋さんがきたからなん刻だ、あの煮しめ屋さんがきたからお昼だ、といわれるようになりゃァたいしたもんで」)

末社まっしゃ)【意味】大尽を本社、取巻きを末社に擬して呼ぶ語。大尽の御機嫌取りをするところから転じて、太鼓持ち幇間。──【江戸語の辞典】(講談・男の花道「芸者末社太鼓持ちの余興はもう見飽きたわ」=名医と名優)

【松杉を植える】まつすぎをうえる) その土地にじっくり根を下ろして定住する、ということ。腰を据えてその土地の者になることだという。(落語・蒟蒻問答「いけませんかねェ、ここで松杉を植えちゃァ?」)

【松に目を休めてゆくや花の中】まつにめをやすめてゆくやはなのなか)(落語・そばの殿さま「故人のだれやらの句に、 松に目を休めて行くや花の中 という……まことに前後にしんみりとおもしろいことをお聞き遊ばして、ちょっとお耳休めにお笑わせ申すという器械でございます」)

松の内わが女房にちっと惚れ】まつのうちわがにょうぼうにちっとほれ)「松の内我が女房に惚れて無事」という句もある(落語・隅田の馴染め)。(落語・成田小僧「女は春先はきれいにしなければならない……松の内わが女房にちっとほれ……」)

【松の木を二つに割ったような人】まつのきをふたつにわったようなひと)(落語・佃祭「三十格好の色の浅黒い、松の木を二つに割ったような体格の人で……」)

【松は男の立ち姿】まつはおとこのたちすがた)(落語・猫の皿「“松は男の立ち姿”ってね、松ってやつァ気持のいいもんだねえ、お爺さん……」)

【松葉牡丹は天日を恐れない】まつばぼたんはてんぴをおそれない)(落語・湯屋番「うん。松葉牡丹だのあたしなんぞァ、天日を恐れない」)

【待てば海路の日和あり】まてばかいろのひよりあり)「待テバ甘露ノ日和アリ」忍耐して時を待てば天上より甘露の降るが如き幸福の日あるべし。「待テバ甘露ノ食ヲ得ル」、「〜雨ヲ得ル」ともいう。──【諺語大辞典】「毛吹草」に「まてばかんろの日和あり」とある。(講談・岩見重太郎「待てば海路の日和とか、日ごろ鍛錬の腕前を、衆人に知らせる時がまいったな」)《い》

【まどろむは愚なり】まどろむはぐなり)(落語・ろくろっ首「まどろむは愚なりといって、寝てえるッてえと、人間損をしちまうぞ」)

【まぶな】1.盗賊隠語。「まぶ」悪いに対して、良いこと。上々。美しくないのに対して、美しいこと。2.芝居者隠語。嘘・贋に対して、真実・本物。──【江戸語の辞典】(落語・真景累ヶ淵「汝(てめえ)まぶな仕事を安田と相談してゐたが、己も半口載せねえか」)

【間夫は勤めの憂さ晴らし】まぶはつとめのうさばらし)遊女などの諺。──【諺語大辞典】、身を売るつらい勤めのひまをぬすんで、遊女が銭金ぬきで好きな情夫に会うのは、気晴らしとしてもっともなことだ。──【故事俗信ことわざ大辞典】(落語・首ったけ「なんだって辰ッつぁん帰したんだい!“間夫は勤めの憂さ晴らし”ッてェことを知らないのかい」)

【間夫は引け過ぎ】まぶはひけすぎ)(落語・五人廻し「他所(よそ)を廻って俺ンとこへ来ようてんだ、なァ、間夫は引け過ぎときたよ」)

【放下師】まめぞう)盛り場などで三味線の伴奏に合わせて手品を見せたり物真似や軽口を聞かせたりする大道芸人。──【江戸語の辞典】(落語・粗忽長屋「ヤア人間(ひと)ばかり立つててまだ何にも始まらねえのか、放下師ですか」)

【守り手の隙はあれども盗人の暇なし】まもりてのすきはあれどもぬすっとのいとまなし)守る者は怠り易く、寇する者は機を伺うに精し。──【諺語大辞典】(落語・釜泥「“守り手のすきはあれども盗人の暇(いとま)なし”夜半に泥坊が二人入りまして、この釜へ荷縄をつけて担ぎ出しました」)

【迷いたがるは凡夫なり迷うは則ち凡心なり】まよいたがるはぼんぷなりまようはすなわちぼんしんなり) (講談・柳生二蓋笠「ヨーシ、これより剣道修行いたすともヤワカ遅かるまじ、迷えば則ち八大地獄、悟れば則ち安養浄土。迷いたがるは凡夫なり迷うは則ち凡心なり」)

【迷えば則ち八大地獄悟れば則ち安養浄土】まよえばすなわちはちだいじごくさとればすなわちあんようじょうど)「~則ち八万地獄~」とも。「八大地獄」焰熱によって苦をうける八種の地獄、すなわち等活・黒縄・衆合・叫喚・大叫喚・焦熱・大焦熱・無間。「安養浄土」極楽浄土のこと。──【広辞苑四版】(講談・柳生二蓋笠「ヨーシ、これより剣道修行いたすともヤワカ遅かるまじ、迷えば則ち八大地獄、悟れば則ち安養浄土。迷いたがるは凡夫なり迷うは則ち凡心なり」)

【迷えば忽ち八萬地獄】まよえばたちまちはちまんじごく)「八萬地獄」衆生が有する八万四千の煩悩がなす悪業によって受ける多くの苦しみを地獄になぞらえていう語。──【広辞苑四版】(講談・加賀騒動「迷へば忽ち八萬地獄、前田土佐守の鑑識にて江戸へ出て來たほどの者が、僅かな事よりして惡人に加擔をするといふ」)

【丸くとも一と角はあれ人ごころ(、あまり丸いところげ易いぞ)】(まるくともひとかどはあれひとごころ)「アマリ円キハマロビ易シ」人は多少の気骨なかるべからず、温順円滑に過ぐべからず。「丸くとも一つ角あれ人心あまり丸きはころびやすきぞ」古歌。──【諺語大辞典】(講談・安政三組盃「『丸くとも一と角はあれ人ごゝろ、あまり丸いところげ易いぞ』という道歌があるくらいであります」)

【丸印】まるしき)(銭の形が丸いのでいう)ぜに。かね。(講談・天保六花撰「何しろ先立つものは丸印だが」)

【真綿で首】まわたでくび)「~ヲ締メルヨウ」婉曲に人を詰責するに喩う。──【諺語大辞典】 「毛吹草」に「わたにてくびをしむることし」とある。(落語・五人廻し「どうも……へへへ、真綿で首というやつで、おそれ入りまして……」)

【真綿で針を包んだような】まわたではりをつつんだような)「真綿ニ針ヲ包ムヨウ」笑中刃、綿裏針な どと同意。──【諺語大辞典】、柔らかい真綿に鋭い針を包みかくす。表面はやさしいが、内心に害意があって底意地が悪いさまのたとえ。──【故事俗信こと わざ大辞典】 「毛吹草」に「ゑみのうちのかたな わたにはりをつゝむ心」とある。(講談・妲妃のお百「私にそういふ事が知れて居るものですから眞綿で針を包んだやうな事ばかり仰しやつて」)

【まんが直る】まんがなおる)「まん」間。拍子。まわりあわせ。めぐりあわせ。運。「〜が直る」で、衰運が好転する。運がよくなる。──【江戸語の辞典】 験直しができて縁起が良くなること(上方では「げんなおし」を「まんなおし」ともいう)。「まんになる」は幸運のきっかけになる、の意。(落語・ 厄払い「自分も口だけのことで商いがでけてやで、ほんでまんが直るというのや」)

【卍巴】まんじともえ)【意味】(講談・安政三組盃「今がちょうど雪のさかりだ。卍巴と降りしきっている」)

【まんじりともしない】まんじりともしない)少しも眠らぬこと。──【諺語大辞典】 まんじり=少しの眠り、まどろみ。(講談・岩見重太郎「一晩中マンジリともしなかった藤左衛門一家の者は」)

満面朱を注ぐ】まんめんしゅをそそぐ)怒って、顔中をまっかにすること。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・安政三組盃「渡辺源次郎も、満面朱を注いで」)

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