増補・話芸きまり文句辞典

落語・講談によく出ることば(改装中)

【六日知らず】むいかしらず)(落語・しわい屋「だすことならば、袖から手をだすのもいやだ、口から舌をだすのもいやだという、これを俗に六日知らずと申します」)落語:しまつの極意、一文惜しみ、駱駝の友達 講談:赤穂義士本伝、鰯屋騒動

【六日の菖蒲十日の菊】むいかのあやめとおかのきく)「六日ノ菖蒲」時期に後れたるをいう。──【諺 語大辞典】九月九日は菊の節供で菊を、五月五日は端午節供で菖蒲を飾る。節供に一日おくれた菊と菖蒲の意で、時期におくれて間に合わないことのたとえ。 ──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・新門辰五郎新門辰五郎の子分も多くは上野で討死をしたと云ふことを聞いて、小金井小次郎落膽した。六日の菖蒲十日の菊」)講談:相馬大作、岩見重太郎、祐天吉松、小金井小次郎

【無縁様の墓磨けば幻術が使へる】むえんさまのはかみがけばげんじゅつがつかえる)(落語・真景累ヶ淵「何でも無縁様の墓ア磨けば幻術が使へるとか何とか云つてね」)

【無学者論に負けず】むがくしゃろんにまけず)「非学者論に負けず」無学な者は、筋道の通った論議にあっても、屁理屈をこねて、いっこうに屈するところがない。学問のない者に道理で説いても無駄であるということ。(落語・千早振る「昔からのたとえに『無学者、論に負けず』ということを申します」)落語:無学者 講談:祐天吉松

【昔取った杵柄】むかしとったきねづか)一旦習熟せし事は、久しく年月を経たる後にも、猶能く其技倆を顕すを得。──【諺語大辞典】(落語・看板の一「昔とった杵柄ちゅうことがあるやないかい、たまにはやってみたらまたおもろいもんやで、なあ」)《い》落語:巌流島 講談:赤穂四十七士伝、伊賀の水月

【昔馴染みと紅殻染めは色がさめても香が残る】むかしなじみとべんがらぞめはいろがさめてもかがのこる)「清水次郎長」の速記にはこう出ているのだが、本当は「昔馴染みと紅花染めは色がさめてもきが残る」 という諺であるらしい。一龍斎貞鳳師の「講談師ただいま24人」の語彙集にもある。「昔馴染みと紅花染め」昔馴染みと紅花染めは、色がさめても「きが残る」ということで、「き」に「黄」と「気」をかけて、昔馴れ親しんだ人はいつになっても忘れることができないということをしゃれていう。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・清水次郎長むかし馴染と紅殻染は色がさめても香が残る、というが、古い友だちはいいもんだなぁ」)

【百足もころぶ】むかでもころぶ)「蜈蚣ノアダ転ビ」百足の虫も尚転倒することあり。──【諺語大辞典】

【麦飯で鯉を釣る】むぎめしでこいをつる)わずかな元手で多くの利益を得る。少しの贈り物で多大の返礼を受ける。与 える物は少なくして、得るところだけ多くしようとするたとえ。──【故事俗信ことわざ大辞典】 「むぎいひにてこひをつる」と「毛吹草」にある。(落語・ 貧乏花見「探してたら鯉が出てくるやろと思うねン。麦飯で鯉を釣る……」)

【麦飯は続飯(そくひ)にならず、貰いっ子は役に立たぬ】むぎめしはそくいにならず、もらいっこはやくにたたぬ) 「麦続飯デヤクニタタヌ」麦飯は続飯とならず。──【諺語大辞典】「続飯」(そくい、そくいい、そっくい)飯粒を練って作った糊。──【広辞苑四版】(講談・神崎与五郎「世の譬に麥飯は續飯にならず、貰ひツ子は役に立たぬなどと申しますが、さうばかりでもございませぬ」)講談:宮本武蔵

【麦を蒔いて稲はできねえ、悪い種を蒔いたんだから悪い花が咲く】むぎをまいていねはできねえ、わるいたねをまいたんだからわるいはながさく)(講談・夕立勘五郎「麥を蒔いて稲は出來ねえ、惡い種を蒔いたんだから惡い花が咲くんだ」)

【無芸大食】むげいたいしょく)飲食するのみにて、芸能なきものを嘲る語。──【諺語大辞典】(落語・阿武松「昔から大飯を食らう奴にな、碌な奴はない。無芸大食という。汝のような者は相撲取りにはなれんから故郷へ帰れ」)《い》落語:松竹梅

【向こう傷(疵・は武士であると)五百石】むこうきずごひゃっこく)「眉間傷百石」眉間に受けた傷は百石の値打ちがある。戦場で受けた男の眉間の傷は、勇敢に戦ったしるしであり、値打ちがあるということ。──【故事俗信ことわざ大辞典】「~三百石」とも。(講談・由井正雪「是れは其のではない、眉間は武士の大事な場所だ、向こう疵五百石といふことはあるが、刀疵でもないやうだ」)講談:水戸黄門、雲居禅師、慶安太平記〜奥村の裏切り、小林平八郎

【向こう脛を払う】むこうずねをはらう)(落語・鰻の幇間「すごいものを食わせて私の向臑を払おうというんでしょう……」)

武蔵野】(むさしの)武蔵野が広大で一目で「野を見尽くせない」というところに「飲み尽くせない」をかけて、大きな杯をいうしゃれ。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・安政三組盃「武蔵野という五合入の大盃」)

【武蔵野の篠を束ねて降る雨に蛍よりほか鳴く虫もなし】むさしののしのをつかねてふるあめにほたるよりほかなくむしもなし)(講談・曾呂利新左衛門「そのうちにも有名なのは、 武蔵野の篠を束ねて降る雨に ほたるより外鳴く虫はなし  と申すのがござりまする」)

【虫なき原野を行くが如し】むしなきげんやをゆくがごとし)(講談・猿飛佐助「満座は森閑として、虫なき原野を行くが如きの光景(ありさま)」)

【虫のせいや疳のせいで(商いをしてるんじゃない)】(むしのせいやかんのせいで)(落語・三方一両損「おい、虫のせえや癇のせえでこんな長屋へ入ってきて喧嘩をしてるわけじゃァねえんだ」)落語:浜野矩随、甲府

【間食】むしやしない)「むしおさえ」空腹を一時まぎらすこと。一時しのぎに飲食すること。──【江戸語の辞典】(落語・らくだ「わたいが、まァ、途中で、弁当がわりに間食に食べた芋でも、すこし残して、持って帰りまへんかいナ……」)落語:京の茶漬、禍は下

【娘一人に婿八人】むすめひとりにむこはちにん)望む者多くして、之に応ずべきもの少きに喩う。──【諺語大辞典】(落語・八百屋お七一人娘に婿八人、乃公も行きたい我も行きたいというが、一人の娘に然んなに婿を貰つても仕様がありません」)講談:柳生三代

【無駄骨折って鷹の餌食】むだぼねおってたかのえじき)「犬骨折って鷹の餌食」と同義か。(講談・猿飛佐助「お負けに長廊下でやり損じ、そのうえ人に取られては、無駄骨折って鷹の餌食とはこのことだ」)

【無二膏や萬能膏の利目より親孝行は何につけても】むにこうやまんのうこうのききめよりおやこうこうはなににつけても)「無二膏」吸出し膏薬の名。一切の腫物に効くと。「万能膏」膏薬の名。あらゆる疵・腫物に効ありとていう。──【江戸語の辞典】(講談・近江聖人「是も孝行の徳、無二膏や萬能膏の利目より親孝行は何につけてもといふ歌があります」)

【無二無三に】むにむさんに)向見ずにひたすら進むをいう。──【諺語大辞典】(講談・木村岡右衛門「『黙れ、狂気いたせしかとは無礼の一言、そこ動くな』と無二無三に切りこんでくる」)

【胸に一物】むねにいちもつ)心中に挟持する所あるをいう。──【諺語大辞典】(講談・安政三組盃「とても効果がないとみたから、胸に一物」)

【胸に問い、腹に答える】むねにとい、はらにこたえる)(講談・木曾富五郎「一應尋ねて見るとしやうと、胸に問ひ、腹に應へて思案をして居る内に」)

【無分別吉原も闇家も闇】むふんべつよしわらもやみうちもやみ)(講談・安中草三郎「『無分別吉原も闇家も闇』と川柳にある如く、ついには首もまはらぬ借金が出來るといふ始末」)

【無明の夢】むみょうのゆめ)「無明」人間の最も根本的な煩悩である、真理に対する無知をいう。無明の境地を、夢にたとえていう。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・柳生二蓋笠「無明の夢の醒めましたる又十郎、そのまま神田三河町、たまの家をぺーっ、とびだしちゃった」)

【無理が通れば道理引っ込む】むりがとおればどうりひっこむ)無理と道理と両立せざるをいう。──【諺語大辞典】、 道理に反するようなことが世の中に行なわれるようなことになれば、道理にかなった事は行なわれなくなるということ。また、難を避けるためには、道理であっ ても引っこんでいるほうがよいということ。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・寛永三馬術無理が通れば道理が引っ込むとも申しますがね、部屋頭、そいつはちと殺生だ」)《い》落語:たがや

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