読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

増補・話芸きまり文句辞典

落語・講談によく出ることば(改装中)

【夜陰の城攻は敗軍の基】やいんのしろぜめははいぐんのもとい)(講談・太閤記「欺かれたるは無念なれど、夜陰の城攻は敗軍の基でござる。今暫く御辛抱あれ」)

野猿坊の尻笑い】やえんぼうのけつわらい)「猿の尻笑い」自ら知らずして他を笑う喩。──【諺語大辞典】「野猿坊」は講談「国定忠治」にも ある語。また、「野猿を吹く」は入れ知恵をする、密告するの意。(講談・幡随院長兵衛「イヤ乃公も若い時分にア隨分そんな事は幾何もあつた、野猿坊の尻笑ひだ、乃公ア入らねへと云やア、お前さんの折角の志を無にするやうなものだし」)

【やかんの中の蛸じゃないが手も足も出ない】やかんのなかのたこじゃないがてもあしもでない)「薬缶で茹でた蛸」薬缶で茹でられた蛸のように、手も足も出ないというしゃれ。進退きわまること。手の打ちようがないこと。また、閉じこもってじっとしていることのたとえ。──【故事俗信ことわざ大辞典】(落語・梅若礼三郎「こいつがもう博奕ですっかり取られちまってやかんへ入った蛸同様……」)

【八寸に余れる駿足(馬)】(やきにあまれるしゅんそく)「八寸」馬の肩までの高さが四尺八寸あること。──【広辞苑四版】(講談・寛永三馬術「成程聞いたよりも立派なもの、八寸に餘れる駿足」)

【焼き餅は遠火に焼けよ焼く人の胸も焦がさず味わいもよし】やきもちはとおびにやけよやくひとのむねもこがさずあじわいもよし)(落語・喜撰小僧「お焼きもちの噂をよく申し上げるようでございますが……“焼き餅は遠火に焼けよ焼く人の…胸を焦がさず味わいもよし”」)

【役者に年なし】やくしゃにとしなし)役者はどんな年齢の役でも演じることができるもので、年齢とともに芸が磨かれるためいつまでも年を取らないように見える。「芸人に年なし」とも。(落語・淀五郎「いや、役者に年なしなんてえ事をいうが、やっぱりそうでもないね」)

【厄と厄との間にできた子は育たない】やくとやくとのあいだにできたこはそだたない)厄年同士の夫婦の間に出来た子は健康に育たない、という俗信。(講談・野狐三次「男の四十二と女の三十三、厄と厄との間にできた赤ン坊は育たねえというんで」)

【焼け石に水】やけいしにみず)火に焼けて熱くなった石に水を少しばかりかけても冷めないように、援助や努力がわずかで効果があがらない状態であることのたとえ。──【故事俗信ことわざ大辞典】「毛吹草」に「やけいしにみづかくることし」とある。(落語・うそつき弥次郎「焼け牛に水というわけで……」)

【焼野の雉子夜の鶴】やけののきぎすよるのつる)雉は巣を営んでいる野を焼かれると、わが身を忘れて子を救おうと巣に戻り、巣ごもる鶴は霜などの降りる寒い夜には、自分の翼で子をおおうというところから、親が子を思う情の切なることのたとえにいう。焼け野の雉。──【故事俗信ことわざ大辞典】(落語・さら屋「焼野の雉子夜の鶴、子に迷はぬ親はなしといふ事がございます」)

【焼野の雉子夜の鶴】やけののきぎすよるのつる)雉は巣を営んでいる野を焼かれると、わが身を忘れて子を救おうと巣に戻り、巣ごもる鶴は霜などの降りる寒い夜には、自分の翼で子をおおうというところから、親が子を思う情の切なることのたとえにいう。焼け野の雉。──【故事俗信ことわざ大辞典】(落語・さら屋「焼野の雉子夜の鶴、子に迷はぬ親はなしといふ事がございます」)

【ヤケのヤンパチ】やけのやんぱち)自暴(ヤケ)を人名に擬したるまでなり。これに日ヤケノ茄子とつゞけてもいう。──【諺語大辞典】「〜勘八」ともいう。(講談・小山田庄左衛門「庄左衛門もう、ヤケのヤンパチ」)
 
【焼棒(木)杭に火がつく】やけぼっくいにひがつく)「燼(モエクイ)ニハ火ガツキ易イ」に同じ。男女の間に旧情の温まり易き喩に多く用う。──【諺語大辞典】(落語・三枚起請焼棒杭に火がつきやすいよってに、逢戻りしてンのやないやろか」)
 
【ヤジリ切】やじりきり)家・蔵の背後の壁を切り破って侵入し、盗みを働くこと。またその盗賊。───【江戸語の辞典】(落語・居残り佐平次「夜盗、カツサリ、ヤジリ切、悪いに悪いといふ事を仕尽しまして」)

【安かろう悪かろう】やすかろうわるかろう)値段が安いとなれば、それだけ品質も悪いにきまっている。安いものによいものはない。──【故事俗信ことわざ大辞典】(落語・柳の馬場「買いは買つたが、安かろう悪かろう。癖があつてどうにも仕様がない」)

【弥助】やすけ)握り鮓をいう。義経千本桜の鮓屋の婿の名より起る。──【諺語大辞典】(落語・お化け長屋「うん。あとで弥助でもとって、茶でも飲みましょう」)

【安物買いの銭失い】やすものがいのぜにうしない)あまり値の安い物を買うと、品質が悪く使い物にならなかったり、 じきに買い替えなければならなかったりで、かえって損失となる。──【故事俗信ことわざ大辞典】 「毛吹草」に「やすきものはぜにうしなひ」とある。(講 談・大岡政談お花友次郎「タダでできる、と思ったから、二、三度抱いて寝てみたが、安物買いの銭失い」)

【痩せても枯れても】やせてもかれても)どんなに落ちぶれても。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・鈴木重八「痩せても枯れても武士の妻」)

【弥蔵をする】やぞうをする)懐手をして拳を作り、着物を乳のあたりで突き上げるようにすること。またその拳。──【江戸語の辞典】(落語・妾馬「なんだって弥蔵をこせえるんだな」)

【矢竹にはやる】やたけにはやる)「弥猛に思う」心がいよいよあせって勇み立つ。また、気がもめていらだつ。──【故事俗信ことわざ大辞典】「矢猛にはやる」とも表記。(講談・大岡政談お花友次郎「さあ私がここにいる事を早くお知らせ申したい、と心は矢竹にはやりましたが」)

【夜中深更に及ぶ】やちゅうしんこうにおよぶ)「深更」よふけ。深夜。──【広辞苑四版】(講談・祐天吉松「御免下さいまし、夜中深更に及びまして恐れ入りますが、一寸お開けを願ひます」)

【やっぱり野に置けれんげ草】やっぱりのにおけれんげそう)「手に取るなやはり野に置けれんげ草」参照のこと。(講談・天保六花撰「ところがかこってはみたがどうもおもしろくない、やっぱり野に置け蓮華草だったと三千歳と縁を切ってひまをやったとすれば」)

【八つ前の雨は降っているかと思うとすぐ上がる】やつまえのあめはふっているかとおもうとすぐあがる)(講談・中村仲蔵八つ前の雨てえのは降ってるかと思ううちにね、すぐ上がるもんでございますから、どうぞごゆっくりとお休みになってくださいまし」)

【矢でも鉄砲でも持ってこい】やでもてっぽうでももってこい)どんな手段を使ってでも攻めてこい。覚悟をきめて物事に当たったり、強がったり、また、捨てばちな気持ちになったりしたときにいう。──【故事俗信ことわざ大辞典】(落語・三方一両損「くやしかったら、いつでもしかえしにこい。矢でも鉄砲でも持ってこい」)
 

【宿小屋のない人間じゃない】やどごやのないにんげんじゃない)「宿小屋」宿とする小屋。住居とする小さな家。──【広辞苑四版】夫婦ゲンカの際、激怒した女房が「自分にはれっきとした実家があるんだから、たった今離縁してもらいたい」と夫に迫る時のきまり文句。(落語・子別れ「宿小屋のねへ人間ぢやアねへから離縁状を認て呉ろと」)

【柳の翠桜の紅】やなぎのみどりさくらのくれない)「花は紅、柳は緑」参照のこと。(講談・伊達誠忠録「草も木も萠え始めて、柳の翠櫻の紅、誠に長閑な日和で御座います」)

脂下がり】(やにさがり)1.肱を張り、煙管の雁首を高く上げ、吸口を低くしてくわえること。2.転じて、通人ぶった態度。気どった態度。得意然とした態度。高慢な態度。──【江戸語の辞典】(赤尾林蔵「林蔵は脂下がりに煙草を飲みながら來た男の様子を見ると」)

【やにをなめた蛙じゃないが】やにをなめたかえるじゃないが)(講談・天保六花撰「やにをなめた蛙じゃあないが、はらわた洗っておはなし申しましょう」)

【矢筈を食う】やはずをくう)「矢筈」相撲の手の一。──【江戸語の辞典】(落語・おせつ徳三郎〜刀屋「愈々という所でドツコイ矢筈を食つたり、脊負投げを食つたりする」)

【藪入りやなんにも言わず泣き笑い】やぶいりやなんにもいわずなきわらい)川柳。ちなみに「藪入り」は上方言葉で、江戸では「宿さがり」といった。(落語・藪入り「藪入りやなんにも言わず泣き笑ひ…… ただいまでは、この句はお若い方にはわかりませんが」)

【藪から棒】やぶからぼう)唐突にて思いかけぬこと。「窓カラ槍」ともいう。──【諺語大辞典】(落語・山崎屋「余まり藪から棒の話で、お前さん怒つちやアいけないよ」)《い》

【藪に馬鍬の理屈をつけて】やぶにまぐわのりくつをつけて)藪に馬鍬を使うこと困難なり、無理なる事をなす喩。──【諺語大辞典】 「毛吹草」に「やぶに馬齒(まぐは)をいふ」とある。(講談・夕立勘五郎「夫がアゝいふ籔に馬鍬といふのは、何にか譯のある事と思つて居りました所」)

【藪の中にも剛の者】やぶのなか〔うち〕にもこうのもの)「ヤブニモコウノモノ」野夫にも功の者、又は剛の者ありとの意なるべし、それより庸医にも功の者、藪にも香の物など種々に転訛したるならん。──【諺語大辞典】 「毛吹草」に「やぶに剛のもの」とある。(講談・相馬大作「ウーム、藪の中にも剛のもの、お前のような人がいるとは思わなかった」)

【藪をつついて蛇を出す】やぶをつついてへびをだす)為さずともよき事をなして、却て不利を招く喩。──【諺語大辞典】 いわゆる「ヤブヘビ」。(落語・しの字丁稚「藪蛇ということはあるが、藪から虎を出してしもたがな」)

【野暮と化物は箱根からこっちにはいない】やぼとばけものははこねからこっちにはいない)野暮と化け物は箱根から先の西にはいるが、こちらの関東にはいない。江戸っ子が通や粋を誇っていう。──【故事俗信ことわざ大辞典】(落語・朝這い「野暮と化けものは箱根からこっちにはいないということを申します」)

【病は医者が与るが、寿命は医者が与らない】やまいはいしゃがあずかるが、じゅみょうはいしゃがあずからない)「病ト命ハ別物」死生は天命なりとの意。──【諺語大辞典】(講談・清水次郎長病は醫者が與るが、壽命は醫者が與らないといふのは此處だ」)

【病は気から】やまいはきから)病気は気の持ちようで、重くもなれば軽くもなるということ。──【故事俗信ことわざ大辞典】 「病は気で勝つ」(講談・大岡政談お花友次郎「『病は気で勝つ』とか申しまして、あなたさえしっかりなすっておいでなされば、自然とご病気は治ります」)という言葉もある。(落語・三年目「夫はいけません、病いは気で持つという」)

【山師の玄関】やましのげんかん)表を飾ること。「医者ノ玄関」ともいう。──【諺語大辞典】 「藪医者の玄関」とも。(講談・塚原ト伝「併し山師の玄關と申してな、構へばかり立派でも、伊勢守それだけの腕前があるかどうか分らぬてな」)

【山高きが故に尊からず】やまたかきがゆえにたっとからず)山は高いというところに価値があるのではなく、樹木が生い茂っていてこそ尊い。どんなに見かけがよくても、内容が伴わなければ立派なものではない。外観よりも実質が大切であることのたとえ。──【故事俗信ことわざ大辞典】 「実語教」冒頭 の文句。(落語・鼻がほしい「皆ひやん、ピヤンとお机に向つて………山高きが故に貴からず」)

【山寺の鐘は千町万町響くといえど、撞木を当てなければ音が出ない】やまでらのかねはせんちょうまんちょうひびくといえど、しゅもくをあてなければねがでない)(落語・なめる「焦れってえなァ……『山寺の鐘は千丁万丁響くといえど、叩かねばその音色はわからねえ』なんて事をいうでしょう」)

【大和根性牛根性】やまとこんじょううしこんじょう)「信州強情信州辛抱」という諺もある。(落語・土橋万才「俗に、大和根性牛根性と申しますぐらい、大和の人は辛抱が強うござりますので」)

【山と山とは出会わぬものだが人と人とは出会うもの】(また会う道もある花の山)(やまとやまとはであわぬものだがひととひととはであうもの) 「〜、また会う道もある花の山」と続く。(講談・正直車夫「山と山とは出会わぬものだが人と人とは出会うもの、どこでまた会い会わないという限りはない」)

【山に入って山を見ず】やまにいってやまをみず)「山に入る者は山を見ず」とも。(講談・名月若松城山に入って山をみず、遠く仰いで、はじめて不二の雄姿を悟りましてござります」)

【山伏の夕立】やまぶしのゆうだち)「山伏ノ夕立デ貝被ル」買被るの地口。──【諺語大辞典】(講談・大石内蔵助「『何だい山伏の夕立といふのは……』『山伏が夕立に會ふと、持つて居る法螺の貝を笠の代りに被るから、かひかぶりといふことだ』」)

【山を上げる】やまをあげる)疱瘡の最も危険な時期を過ぎる。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・関東七人男「子供が疱瘡でいまだに山を上げず」)

【闇の夜に鳴かぬ烏の声聞けば生まれぬ先の父(母)ぞ恋しき】やみのよになかぬからすのこえきけばうまれぬさきのちちぞこいしき) 一休禅師の作とも、足利義政の作ともいう。(講談・緑林五漢録~扇町屋の邂逅「闇の夜に啼かぬ烏の聲聞けば生れぬ先の父母ぞ戀しきで誠の父は何國の人か母は如何なる素性なるか父なりとも母なりとも一ト目會て置たいと」)

【闇の夜は吉原ばかり月夜かな】やみのよはよしわらばかりつきよかな)(落語・文七元結「五十両の金をふところへ、おもてへ出たが……闇の夜に吉原ばかり月夜かな……」)

【矢も楯も堪らない】やもたてもたまらない)自ら制止すべからざる様。「矢モ」という語、不用にして意義をなさず、只口拍子に添うるまでなり。──【諺語大辞典】(講談・越後伝吉「サアもう国へ帰りたくて、矢も楯も堪りません」)

【やらずの雨】やらずのあめ)帰ろうとする人を、まるでひきとめるかのように降ってくる雨。──【故事俗信ことわざ大辞典】(落語・湯屋番「そうだ、雨が降ってくるなんてのァいいね。やらずの雨なんて……」)

【やらずぶったくり】やらずぶったくり)人に与えるというようなことはしないで、ただ取り上げるばかりという強欲な行為をいう。──【故事俗信ことわざ大辞典】 「やらず逃さずぶったくり」とも。(落語・笠碁「変な事を言うない、ちぇッ。やらずぶッたくりみてえなことを言やがる……」)

【槍は刀より七分の利得がある】やりはかたなよりしちぶのとくがある)(講談・由井正雪槍は刀より七分の利得があるなどと申しますが」)
【野郎意気地なくして飴やおこしを売る】やろういくじなくしてあめやおこしをうる)「女氏なくして玉の輿に乗る」の男性版。(落語・妾馬「野郎意気地なくしてあめやおこしを売る、なんてえことをいいますが、どうもこの、男の方はあまり、見染められて出世をしたなんてえのもございますまいが」)

【野郎の刀架け】やろうのかたなかけ)(講談・寛永御前試合「野郎の刀架けというのはその方だ」)

【やわか】やわか)反語を表す。どうしてか。いかでか。やわ。──【広辞苑四版】 漢字では「豈夫」などと表記。(講談・山中鹿之助「遺恨重なる九郎左衛門、ヤワカ安閑と此の世に置くべきや」)

【止ンぬる哉】やんぬるかな)もうおしまいだ。今となってはどうにもしかたがない。──【広辞苑四版】(講談・寛永三馬術止ンぬる哉と思いましたが」)

 トップヘ

広告を非表示にする