読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

増補・話芸きまり文句辞典

落語・講談によく出ることば(改装中)

【勇士の功は馬にあり】ゆうしのこうはうまにあり)「馬ハ武士ノ宝」──諺語大辞典 講談「夕立勘五郎」では「武士の功は~」。(講談・夕立勘五郎「コレ能く聞け、武士の功は馬にありと申す、其の馬を打ち殺すとは不埒の奴ぢや」)

【勇士は首を失うことを忘れぬ】ゆうしはこうべをうしなうことをわすれぬ)「勇士は其の元を喪うを忘れず」勇士は自分の首を失う時があるという覚悟を常に心に抱いている。勇士はいつも生命を捨てる覚悟のあることをいう。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・赤穂義士本伝「しからば申し上げるが、勇士は首を失ふことを忘れず、と申す」)

【勇士は酒を好む】ゆうしはさけをこのむ)「英雄酒を好む」英雄は豪快の気を愛するところから、一般に酒を好むものであるということ。──【故事俗信ことわざ大辞典】「豪傑もとより大酒を好む」(講談・山中鹿之助)とも。(講談・伊賀の水月「一同見ろ、勇士は酒を好むと言うが、宜(むべ)なり、又右衛門はあれを一とほしに致した」)

【勇士は子に伏し寅に起きる】ゆうしはねにふしとらにおきる)「人間稼ごうと思う間は子に伏し寅に起きる位でないといけない」参照のこと。(講談・荒木又右衛門「日が高くなつてゐるのに何時まで寝てゐるのだ、勇士は子に伏し寅に起きる」)

【勇者は恐れず、智者は惑わず】ゆうしゃはおそれず、ちしゃはまどわず)「勇者は懼れず」勇者はいかなる困難をも恐れないで立ち向かっていく。「智者は惑わず」知恵ある者は道理を知り、物事を見抜く力があるので、事にあたって迷うことはない──【故事俗信ことわざ大辞典】 「毛吹草」にもある。(講談・相馬大作「しかし勇者は恐れず、智者は惑わずとやらで、哀しみはいたしまするが、気は挫けません」)

【勇将の下に弱卒なし】ゆうしょうのもとにじゃくそつなし)強くて勇ましい大将のもとには、それに感化されて弱い兵卒はいない。──【故事俗信ことわざ大辞典】「強将(ごうしょう)・猛将の下に~」とも。(講談・猿飛佐助「さればにや勇将の下に弱卒なし、一門郎党にも豪傑勇士また尠なからず」)

【夕立や田を三囲の神ならば】ゆうだちやたをみめぐりのかみならば) 宝井其角向島の三囲稲荷(田を見めぐるという意味の名)で雨乞いのためにこの句を詠んだところ、翌日雨が降ったという伝説がある。(落語・道灌「夕立や田を三囲の神ならばという、此の句の徳で雨が降って来た」)

【夕立や法華駆け込む阿弥陀堂ゆうだちやほっけとびこむあみだどう)「五元集拾遺・夏の部」にある其角の句。法華 宗の徒が夕立を避けて、いつも誹謗している浄土宗・真宗の本尊を安置する阿弥陀堂に逃げこんだ。必要に迫られた呉越同舟の面白さをよんだもの。──【故事 俗信ことわざ大辞典】(落語・中村仲蔵「こうなったらどッか雨宿りに飛び込まなくちゃならない。 夕立や法華飛び込む阿弥陀堂 しようがない。」)

【幽霊の正体見たり枯尾花】ゆうれいのしょうたいみたりかれおばな横井也有の「化物の正体見たり枯尾花」(化け物が出るというので、確かめてみれば、何のことはない風にそよぐただの枯れ尾花だ。怖じ恐れていたものも、素姓や正体がわかってしまえばありきたりのつまらないものであったというたとえ)によるという。(落語・幽霊稼ぎ「幽霊の正体見たり枯尾花、幽霊などというものはこの世の中にないものだというお説もございますが」)

【幽霊になれば平家も白いなり】ゆうれいになればへいけもしろいなり)(落語・質屋の庫「古い川柳に『幽霊になれば平家も白いなり』大概幽霊は白い着物を着て出るようで、幽霊に赤い着物などは昔から今日までないようでございます」)

【由縁をきけばありがたい、たびたび聞けばやかましい】ゆかり〔ゆわれ〕をきけばありがたい、たびたびきけばやかましい)「謂れを聞けば有難や」つまらなく見えるものでも、その由来を知ると、急にありがたく思えてくる。──【故事俗信ことわざ大辞典】「謂(いわ)れを聞けば~」「~たびたび聞けば小うるさい」とも。(落語・初音の鼓「ウ、なァるほど、由縁(ゆわれ)を聞けばありがたい、たびたび聞けばやかましい、これにはどういうところの不思議があるんだ?」)

【往き大名の還り乞食】ゆきだいみょうのかえりこじき)旅行などに、往くに驕り、還りに吝なるをいう。──【諺語大辞典】(落語・大山詣り「江戸子の癖で、上方へ見物にお出になつても、往き大名の還り乞食………」)

【雪の日に駕籠に乗る人かつぐ人そのまた草鞋を作る人】ゆきのひにかごにのるひとかつぐひとそのまたわらじをつくるひと)「箱根山駕籠に乗る人担ぐ人、そのまた草鞋を作る人」を参照のこと。(講談・鼠小僧次郎吉「もっとも『雪の日に、駕籠に乗る人担ぐ人、そのまた草鞋を作る人』てえが草鞋を作る者よりか俺達の方が情けねえと思うぜ」)

【雪の日やあれも人の子樽ひろい】ゆきのひやあれもひとのこたるひろい)「初雪や彼も人の子樽ひろひ」(安藤冠里)による。(講談・安政三組盃「人間というものは少しは思いやりもなくてはいけますま い。――雪の日や、あれも人の子樽ひろい……」)

【雪の日や不孝者めの居り処】ゆきのひやふこうものめのおりどころ)「~憎まれ者の居る処」とも。(落語・お節徳三郎〜刀屋「『雪の日や不孝者めの居り処』と云つてネ。然んな奴でも雨降風間には婆アさんと思ひ出しちやア話して居るのサ」)

【雪は豊年の貢】ゆきはほうねんのみつぎ)雪が多く降れば、その年は豊作になるということ。雪は五穀の精。──【故事俗信ことわざ大辞典】「~豊年の兆(きざし)」「〜豊年の瑞(しるし)」とも。(講談・勝田新左衛門「それは心得ちがい、雪は豊年の貢という。ほうという字は豊かという字だ」

【雪降ればお庭の景色宜けれども流しの元の寒さ冷たさ】ゆきふればおにわのけしきよけれどもながしのもとのさむさつめたさ)(落語・繋馬雪の陣立「雪降ればお庭の景色宜けれども流しの元の寒さ冷たさ と古人が言はれました通り、誠に何うも下男は困りませう………」=追い焚き)

【雪を墨、烏を鷺と言いくるめる】ゆきをすみ、からすをさぎといいくるめる)白い雪を黒い墨だと言いくるめる。不合理なことを強引に主張すること。烏を鷺。──【故事俗信ことわざ大辞典】(講談・天一坊)

【豊かならざれば礼整わず】ゆたかならざればれいととのわず)「衣食足りて礼節なる」の意か。(講談・勝田新左衛門豊かならざれば礼整わず、畏れ多くも大君の宸襟を安んじ奉る第一は豊作である」)

【弓板倉に槍内匠】ゆみいたくらにやりたくみ)「槍板倉に弓浅野」という諺もあるらしい。(講談・赤穂四十七士伝「弓板倉に鑓内匠と云つて内匠頭の家中に槍の出來る人が三百拾七人あり升る」)

【弓は袋、刀は鞘に収まる御世】ゆみはふくろ、かたなはさやにおさまるみよ)「弓を弓袋にす」武器をつかわないのでかたづける。天下が太平になって武器を必要としなくなる。戦乱がおさまって世の中が平和になる。──【故事俗信ことわざ大辞典】「~太刀は鞘に収まる御世」とも。(講談・亀甲縞治兵衛「徳川の天下は枝も鳴らぬ時津風弓は嚢に太刀は鞘、泰平無事の頃でございます」)

【夢でもいいから持ちたいものは金の成る木といい女房】ゆめでもいいからもちたいものはかねのなるきといいにょうぼう)(落語・中村仲蔵「都々逸にもございますが……“夢でもいいから持ちたいものは金の成る木といい女房”というのがある」)

夢に夢見る心地】(ゆめにゆめみるここち)夢の中で、また夢を見る。きわめてぼんやりしてはっきりしないさま。また、はかないことのたとえにいう。──【故事俗信ことわざ大辞典】(猿飛佐助「佐助は夢に夢見る心地」落語・なめる「夢に夢見る心地の男は」)

【夢は五臓の疲れ】ゆめはごぞうのつかれ)夢を見るのは五臓(肝・心・脾・肺・腎)の疲れが原因であるということ。──【故事俗信ことわざ大辞典】「夢は五臓の患い」ともいう。(落語・宮戸川「ァァそれで判った。夢は小僧(五臓)の使い(疲れ)だわエ」)

【夢は逆夢】ゆめはさかゆめ)夢はこれから起こることとは逆の形に現われるものであるということ。悪夢を見た時などの縁起直しにいう。──【故事俗信ことわざ大辞典】(落語・鼠穴「夢は逆夢というし、火事の夢は焼けほこるというから」)

 トップヘ

広告を非表示にする